ワールドヘルスレポート

海外の健康や医療に関する旬なニュースをお届けしています。
2014年記事
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2014年12月記事 vol.127 2015年トレンド予測、大豆食品の人気が継続
各市場調査会社が、健康関連商品の2015年トレンドを打ち出している。2015年は食品ではナチュラリー・ファンクショナルが注目を浴びるとして、お茶や大豆食品など日本の伝統食品が挙げられている。健康食品市場における2015年のトレンド予測について報告する。 ナチュラリー・ファンクショナルがトレンドに 栄養や食の安全に関する情報を提供する非営利団体International Food Information Council Foundation (IFIC)の調べによると、消費者の21%は栄養素を強化した食品を好んで買っており、60%はもともと栄養素が豊富な食品を好んで買っている。市場調査会社ハートマンの調べでも、食物繊維、抗酸化成分、カルシウム、プロバイオティクスなど、消費者は健康に良いと言われる栄養素を自然のまま含んでいる食品を求める傾向にあることがわかる。食品・栄養専門の市 […]
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2014年11月記事 vol.126 アメリカ2015年版栄養ガイドライン、求められるサプリメント項目
アメリカで5年ごとに改訂される「アメリカ人のための栄養ガイドライン」。来年には2015年版が発表される。アメリカの健康産業界はこの中にサプリメント項目の追加を強く求めているが、はたして実現するのか。最終調整に入った2015年版栄養ガイドラインの周辺事情を報告する。 全穀物、アメリカで圧倒的な市場規模 連邦政府当局により、初めて「アメリカ人のための栄養ガイドライン」が発表されたのが1980年。以来、5年ごとに新たな研究データの追加や現状を踏まえた改訂が行われ、肥満や高血圧、動脈硬化といった生活習慣病を防ぐための食生活の基準が示されてきた。2005年版では初めて全穀物の推奨を明言し、2010年版では深刻な社会問題となっている肥満対策に焦点を当てた。このような国を挙げての取り組みが功を奏し、アメリカ人の間では食事に対するヘルシー志向が高まっていった。 今や全穀物ブームだが、200 […]
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2014年10月記事 vol.125 米国におけるGMO表示の現状
米国で非遺伝子組み換え(NON-GMO)食品・飲料品の人気が高まり、GMO表示の義務付けを巡る議論が沸騰している。大手スーパーやレストランはNON-GMOを掲げて消費者にアピールしている。米国におけるGMO表示の現状を報告する。 米国民の93%がGMO表示を望んでいる 現在、日本では健康食品の機能性表示が話題となっているが、米国では遺伝子組み換え食品(GMO)の表示の義務付けが消費者の間で最大の関心事となっている。ニューホープ・ナチュラル・メディアのサイト「ニューホープ360」に掲載の2014年10月8日付記事は、米国民の93%がGMO表示を望んでいると報告している。 米国の遺伝子組み換え研究の歴史は1970年代にまで遡る。1973年にコーエンとボイヤーが大腸菌を使った初の遺伝子組み換えに成功。1994年に遺伝子組み換え食品が商品化されたのを皮切りに、今では米国で生産される […]
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2014年9月記事 vol.124 米国で需要増、拡大する機能性食品市場
アメリカで健康に良い栄養の摂り方に対する消費者の意識が変化している。これまで栄養成分を補うといえばサプリメントだったが、日常の食生活でも健康の増進を図りたいと、機能性食品への関心が高まっている。アメリカにおける機能性食品市場の現状を報告する。 アメリカ人の10人に6人が機能性食品を利用 2012年のギャラップ調査によると、アメリカでは大人の10人に6人が機能性食品や機能性飲料をときどき利用している。最も人気のある機能性食品は、ヨーグルトとシリアル。消化器官の健康や心臓病の予防で食べている人が多いようだ。他にも、コレステロールの管理に役立つバターやマーガリン、満腹感を得られるシェークやバー、関節の機能や免疫力を高める働きのある飲料も人気を呼んでいる。 世界の機能性食品市場では、栄養を強化した牛乳、エネルギードリンク、プロバイオティクス・ヨーグルト、スポーツドリンク、シリアル、 […]
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2014年8月記事 vol.123 米国で成立20周年を迎えたDSHEA(栄養補助食品健康教育法) ②検討される見直しの必要性
見直しが必要か――。栄養補助食品健康教育法(DSHEA)をめぐり、そんな議論が噴出している。法成立20周年を翌年に控えた2013年、サプリメントの信頼性を低下させるような報道が相次いだからだ。米議会では一部の議員からサプリメントに対する市販前の規制を強化すべきだという声があがっている。業界側も消費者の高い信頼を得るために、DSHEAの見直しと修正の必要性を認めているようだ。 DSHEA成立20周年を前に、ネガティブ報道 DSHEA成立20周年を控えた2013年、サプリメント業界の信頼性を低下させるようなニュースが相次いで報道された。フィラデルフィアのチルドレンズホスピタルが同年10月、メラトニン、必須ビタミンとミネラル、アミノ酸を除くサプリメントの患者への投与を禁じた。大半のサプリメントが医療専門家の規制を受けていないうえ、病気の治療効果も証明されておらず、さらに医薬品の働きを妨げる恐れ […]
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2014年7月記事 vol.122 米国で成立20周年を迎えたDSHEA(栄養補助食品健康教育法) ①サプリメントの夜明け
米国では、栄養補助食品に関する画期的な法律「栄養補助食品健康教育法(DSHEA)」が今年成立20周年を迎えた。サプリメントについての規制の枠組みを確立し、商品の安全性や質を保証するDSHEA。日本で安倍政権が掲げた「栄養補助食品の機能性表示解禁」は、このDSHEAを参考にしていると言われている。2回にわたってDSHEAのこれまでの変遷を振り返ってみる。 「慢性病の発症を抑え、医療費削減につながれば」とDSHEAに期待 サプリメントの需要の高まりや経済効果などを踏まえ、DSHEAは1994年にクリントン政権のもとに成立した。クリントン元大統領は、「数年にわたる熱心な取り組みにより、メーカー、栄養学の専門家、米議会議員は、消費者と協力し、規制そして法のもとにサプリメントの扱いについて共通の認識を得ることができた」と新法を歓迎。ホワイトハウスのプレスリリースでも、「食生活が生活の質や寿命に影 […]
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2014年6月記事 vol.121 プロバイオティクス、米国で認知度高まり売上げ上昇
世界規模で成長し続けているプロバイオティクス市場。アジア太平洋やヨーロッパ市場の売上げには遅れをとるものの、アメリカでも消化器官の健康などに有益な商品として関心が高まっている。そんなアメリカのプロバイオティクス市場について報告する。 世界市場は2018年に449億ドルに 市場調査会社トランスペアレンシー・マーケット・リサーチによると、プロバイオティクスの世界市場規模は、2011年に279億ドルだったが、2018年には449億ドルに達し、2013年から2018年の成長率は6.8%と予想されている。世界市場では、アジア太平洋地区とヨーロッパが優勢で、特にアジア太平洋地区は今後もますます成長が期待できるマーケットとして注目されている。プロバイオティクスの商品形態としては食品と飲料が最も人気で、両分野の市場は2018年までに379億ドルに達するものと予測されている。ここ数年は、サプ […]
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2014年5月記事 vol.120 米国で糖尿病患者増加、政府が対策に本腰
米国で糖尿病の患者が増えている。とりわけ子どもの糖尿病患者が増加傾向にあり、つい先日もメディアで大々的に報じられた。政府は昨年、国民の糖尿病への予防意識を高めるために毎年11月を糖尿病予防月間に指定した。米国における糖尿病の現状と政府の取り組みを報告する。 大人の10人に1人は糖尿病患者 大人の糖尿病患者が増えているという研究報告が、4月に内科医学学会誌に掲載された。ジョンホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部の疫学准教授らによる研究で、National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)の1988年-1994年と1999年-2010年のデータをまとめたものだ。この研究では、米国で糖尿病の患者数が1988年から2倍に増えており、今では10人に1人が糖尿病と診断されていると報告している。1980年代後半から1990 […]
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2014年4月記事 vol.119 米国で求められる「ナチュラル」の定義
スーパーや健康食品店などにずらりと並んだナチュラル表示の食品やパーソナルケア商品。消費者も好んでこれらの表示の商品を買う傾向があるが、実際にはオーガニック表示のような明確な定義や規定はない。このような不透明な状況を受け、米国では「ナチュラル」の定義を求める声が高まっている。 ナチュラル業界、990億ドル市場 「ナチュラル」を謳った商品が主要マーケットで見られるようになったのは1920年代。その後、1970年代には天然の素材を使ったパーソナルケア商品の登場で市場規模が広がり始めたといわれている。米国最大規模の健康関連商品の展示会「ナチュラル・プロダクツ・エキスポ・ウエスト」によると、当時、これらの商品の大半が個人経営の店や生協で売られており、市場規模は24億ドルと推定されている。その後、健康ブームに乗ってサプリメントやヘルシーフードの需要が一気に高まったが、ナチュラル・フーズ・ […]
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2014年3月記事 vol.118 体重管理で、ヘルシーな食を選択~米国ヘルシー・ダイエット最新情報③
U.S. News & World Reportが毎年行っているヘルシーなダイエットのランク付け「ベスト・ダイエット」。2014年版では新たに3種類のダイエット法、「スパーク・ソリューション・ダイエット」、「酸・アルカリ・ダイエット」、「ファスト・ダイエット」が追加された。今回は、それぞれの特徴を紹介する。 ※ダイエット(diet)は食事法の意。 アメリカ人の体重管理への意識の高まり 体重は自分自身でコントロールできる―そう信じるアメリカ人が増えていることが、今年1月の米農務省経済調査局発表の調査報告「Changes in Eating Patterns and Diet Quality Among Working-Age Adult, 2005-2010」で分かった。それによると、「体重を自分でコントロールできる」と答えた成人(1946年~1985年生まれ)は、2007年は64% […]
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2014年2月記事 vol.117 糖尿病や心臓病対策の菜食ダイエット~米国ヘルシー・ダイエット最新情報②
巷に溢れかえるダイエット。その中から、自分の体にあったものを選ぶのは至難のわざ――。そこで、前回に引き続きヘルシーなダイエットをランク付けしたU.S. News & World Reportの「2014年ベスト・ダイエット」から、今回は糖尿病や心臓病対策に有効なダイエットを紹介する。 ※ダイエット(diet)は食事法の意。 米国で7840万人が肥満 米国では肥満が深刻な問題となっており、米国心臓協会によると20歳以上の成人のうち1億5470万人が太りすぎで、うち7840万人が肥満(BMI30以上)といわれている。男女別では、太りすぎ又は肥満の男性は7990万人、女性は7480万人と男性の方が多いが、肥満だけでみると男性3680万人、女性4160万人と逆転する。このままのペースで肥満人口が増え続けると、肥満に起因する疾患にかかる医療費は2030年までに8610億ドルから9570億ド […]
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2014年1月記事 vol.116 話題の食事法「DASH」とは~米国ヘルシー・ダイエット最新情報①
「今年こそヘルシーな食生活を」と新年に誓いを立てた人は少なくないはず。そんな人に必見のレポートが発表された。それがU.S. News & World Reportの「2014年ベスト・ダイエット」。ヘルシーなダイエットを「総合」、さらに「目的別」に分けてランク付けしている。この中から、第1回目は「総合ランキング」、第2回目は「目的別ランキング」、そして第3回目では新たに検証対象に加わった「新しいダイエット」を紹介する。 ※ダイエット(diet)は食事法の意。 2014年度版、32種類のダイエット法を紹介 全米大学ランク付けなどで知られる米国の時事解説誌「U.S. News & World Report」が、健康分野で毎年行っているダイエットのランク付け「2014年度版ベスト・ダイエット」を発表した。今年で4年目を迎える「ベスト・ダイエット」には、米国で注目の32種類のダイ […]