米国で成立20周年を迎えたDSHEA(栄養補助食品健康教育法) ②検討される見直しの必要性

米国で成立20周年を迎えたDSHEA(栄養補助食品健康教育法) ②検討される見直しの必要性

米国で成立20周年を迎えたDSHEA(栄養補助食品健康教育法) ②検討される見直しの必要性

2014年9月号 2見直しが必要か――。栄養補助食品健康教育法(DSHEA)をめぐり、そんな議論が噴出している。法成立20周年を翌年に控えた2013年、サプリメントの信頼性を低下させるような報道が相次いだからだ。米議会では一部の議員からサプリメントに対する市販前の規制を強化すべきだという声があがっている。業界側も消費者の高い信頼を得るために、DSHEAの見直しと修正の必要性を認めているようだ。

DSHEA成立20周年を前に、ネガティブ報道 

DSHEA成立20周年を控えた2013年、サプリメント業界の信頼性を低下させるようなニュースが相次いで報道された。フィラデルフィアのチルドレンズホスピタルが同年10月、メラトニン、必須ビタミンとミネラル、アミノ酸を除くサプリメントの患者への投与を禁じた。大半のサプリメントが医療専門家の規制を受けていないうえ、病気の治療効果も証明されておらず、さらに医薬品の働きを妨げる恐れもあるというのが、その理由である。全米で病院がサプリメントを締め出したのはこれがはじめてだ。同年6月にはニューヨークタイムズ紙が、社説でサプリメントによる特定の栄養素の過剰摂取や偏った摂取で体内のバランスが崩れるなどと警告した。同紙は12月にもサプリメント摂取が肝臓に害を与えているケースが増えているという内容の記事を掲載。また同じく、Annals of Internal Medicine誌もビタミンやミネラルのサプリメントの効果を否定する記事を掲載している。

米国成人の85%がサプリメントの安全性や効果を信頼 

マーケティング会社パッケージドファクトによると、こうしたネガティブな報道の影響で2013年と2014年初頭のサプリメントの売り上げは若干スローダウンしたが、消化器系サプリメントとプロバイオティクスの2013年売り上げは25%近くアップして好調だったという。今後もサプリメントの市場規模は毎年6%の成長を続けるものと予想されているが、このような成長が見込まれるのも、サプリメントが消費者から高い信頼を得ているからである。

栄養補助食品業界団体The Council for Responsible Nutrition (CRN)の2013年統計によると、米国の成人の85%はサプリメントの安全性、質、効果を信頼しており、健康の維持・改善、食事で不足している栄養素の補給、心臓病の予防などのためにサプリメントを摂取している。健康管理で信頼できる情報源は、一番目が医者、次いで薬剤師、栄養士と続く。サプリメントを摂取している人の約85%は、摂取していることを担当の医師に知らせており、これまで医薬品のみを重視してきた医師の間でも、サプリメントに対する理解と認識が高まる傾向にある。

ちなみに、サプリメント摂取を年齢層別にみると、55歳以上が75%、35歳から54歳が66%、18歳から34歳が64%となっている。性別では女性が72%、男性が64%。サプリメント購入の決め手となるのは、第一に価格、次いでパッケージの表示。購入先は、量販店、次いでドラッグストアー、スーパーマーケット、会員制の大型ディスカウントショップ、健康食料品店の順となっている。

DSHEA以降サプリメント業界は大きく変化、業界も見直しに前向き 

サプリメント業界としては、DSHEAのバックアップで得た消費者の信頼を失うことは回避したいところだ。そこで、バッシング続きだった2013年明け早々に、CRNのプレジデント兼CEOのスティーブ・ミスター氏はナチュラルプロダクツインサイダー誌の年頭挨拶で、「相次ぐサプリメントの信頼性を低下させるような報道によって、米議会がDSHEAの見直しを検討する可能性が懸念される。しかし、成立から20年経過していることから見直しは適切であり、忘れられた感のあるDSHEAが注目されるようになった。」とサプリメントに対して否定的な報道をむしろ歓迎する余裕すらみせた。さらにミスター氏は、DSHEAが1994年に成立してから、サプリメント業界は大きく変化したと指摘する。市場規模が拡大して企業も増え、多くの新素材が市場に出回るようになった。また、インターネットによる販売や広告が出現し、消費者の医療に対する判断の方法も変わった。このような変化を考慮すると、成立20周年は見直しをするにあたっていい機会だ、と前向きな姿勢を示した。

 

 

 

 

 

 

TOP