話題の食事法「DASH」とは~米国ヘルシー・ダイエット最新情報①

話題の食事法「DASH」とは~米国ヘルシー・ダイエット最新情報①

話題の食事法「DASH」とは~米国ヘルシー・ダイエット最新情報①

WHR2月号「今年こそヘルシーな食生活を」と新年に誓いを立てた人は少なくないはず。そんな人に必見のレポートが発表された。それがU.S. News & World Reportの「2014年ベスト・ダイエット」。ヘルシーなダイエットを「総合」、さらに「目的別」に分けてランク付けしている。この中から、第1回目は「総合ランキング」、第2回目は「目的別ランキング」、そして第3回目では新たに検証対象に加わった「新しいダイエット」を紹介する。

※ダイエット(diet)は食事法の意。

2014年度版、32種類のダイエット法を紹介 

全米大学ランク付けなどで知られる米国の時事解説誌「U.S. News & World Report」が、健康分野で毎年行っているダイエットのランク付け「2014年度版ベスト・ダイエット」を発表した。今年で4年目を迎える「ベスト・ダイエット」には、米国で注目の32種類のダイエットが紹介されている。栄養・健康分野の専門家らが実践のしやすさ、安全性、効果などを検証し、減量や糖尿病患者向けといった目的別に優れたダイエットをランク付けしている。ちなみに2013年版に掲載されていたダイエット法は29種類。最新版には、「酸・アルカリ・ダイエット」、「スパーク・ソリューション・ダイエット」、「ファスト・ダイエット」の3種類が新たに加わっている。巷に溢れかえるダイエット情報、一体どれが良いのか戸惑っている消費者も多いはず。「2014年版は、痩せたい、慢性疾患をコントロールしたい、バランスのとれたヘルシーな食生活を実践したい、といった個々のニーズに合ったダイエットを消費者が選びやすいようデザインされている」と、同誌のエディター、アンジェラ・ハウプトさんは語る。

4年連続総合トップの最強ダイエット「DASH」 

米国では4人に1人が高血圧といわれ、加齢とともにさらにその割合が増している。高血圧は症状が現れにくいことからサイレント・キラーと呼ばれ、そのまま放置しておくと心臓や腎臓疾患、脳卒中になりかねない危険な病気である。そこで、米国立心臓・肺・血管研究所が高血圧を下げるために開発したダイエットがDietary Approaches to Stop Hypertension、頭文字をとって通称「DASH」、ベスト・ダイエットの総合ランク付けでも4年連続トップの最強ダイエットである。血圧を下げる目的で開発されたダイエットだが、栄養のバランスがよく、安全で体に良いダイエットとして注目されている。

「DASH」は、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を減らし野菜、果物、全粒穀物、魚、鶏肉、豆、種子を多く摂るダイエットである。性別や年齢、さらに個人の運動量に応じて1日の摂取カロリーを定め、それを基にどの食品群をどれくらい摂ればいいかが分かりやすく示されている。血圧を下げるうえで要となる塩分の摂取量は、米国人の栄養ガイドラインの定める1日ほぼ小さじ1杯分相当の2300mgで、徐々に1500mg以下に減らしていく。

血圧を下げる効果は科学的にも立証済みだ。最高血圧が160以下、最低血圧が80から95の成人459人(うち約27%が高血圧患者、男女半々、60%が高血圧になりやすいといわれるアフリカ系米国人)を、「肉中心の典型的な米国の食事」、「典型的な食事に野菜と果物を加えた食事」、「DASH」の3グループに分け、いずれも1日の塩分摂取を3000mgにしたところ、開始からわずか2週間で「典型的な食事」以外の2グループで血圧の低下がみられ、とくにDASH組では劇的な低下が報告されたほか、高血圧患者の血圧は大幅に下がった。

また、最高血圧が120から159、最低血圧が80から95の412人を対象にした調査でも、塩分の摂取量を1500mgに抑えたDASHで血圧が劇的に下がる効果が報告されている。さらに、2011年にDiabetes Care誌に掲載された小規模の研究報告によると、生活習慣病といわれる2型糖尿病患者が「DASH」を実践したところ、開始から8週間でヘモグロビンAICの値と血糖値がいずれも低下した。

総合2位はコレステロールを下げる「TLCダイエット」 

「DASH」に続く総合ランキング2位は、Therapeutic Lifestyle Changes Diet、頭文字をとって「TLCダイエット」。米国立衛生研究所(NIH)が、コレステロールをコントロールする教育プログラムとして開発したダイエットである。

米国心臓協会によると、理想のコレステロール値は200mg/dl以下だが、20歳以上の米国人のうち9890万人が200mg/dl以上で、うち3190万人は心臓病のリスクが2倍高くなるといわれる240mg/dl 以上と言われる。

「TLCダイエット」は、脂肪の中でも肉や牛乳、揚げ物などに多く含まれる飽和脂肪酸の摂取を極力抑え、植物繊維を豊富に摂ることで動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを下げて心臓発作や脳梗塞を防ぐといわれている。米国心臓協会もTLCを心臓疾患のリスクを下げるダイエットとして推奨している。

具体的には、目的がコレステロール値を下げるだけなら、1日の摂取カロリーは成人男性で2500cal、女性で1800cal、体重も減らしたければ、成人男性で1600cal、女性で1200calを目標とする。そして、飽和脂肪酸を目標摂取カロリーの7%以下に抑え、コレステロールの摂取も1日200mg以下に抑える。これを6週間続けてみて、悪玉コレステロールが8~10%減少しなければ、コレステロールの吸収を抑えるといわれる水溶性植物繊維を1日20~25g、植物油などに含まれる植物スタノールあるいはステロールを1日2gずつ摂取する。

こうしたキーポイントを守りながら、ヘルシーなダイエットの鉄則である野菜や果物、全粒穀物、脂質の少ない牛乳・乳製品、魚、鶏肉を中心とした食生活を心掛ける。これにより、悪玉コレステロールを下げるだけでなく、摂取カロリーを制限することから減量効果も報告されている。

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