米国で需要増、拡大する機能性食品市場

米国で需要増、拡大する機能性食品市場

米国で需要増、拡大する機能性食品市場

2014年10月号アメリカで健康に良い栄養の摂り方に対する消費者の意識が変化している。これまで栄養成分を補うといえばサプリメントだったが、日常の食生活でも健康の増進を図りたいと、機能性食品への関心が高まっている。アメリカにおける機能性食品市場の現状を報告する。

 

アメリカ人の10人に6人が機能性食品を利用 

2012年のギャラップ調査によると、アメリカでは大人の10人に6人が機能性食品や機能性飲料をときどき利用している。最も人気のある機能性食品は、ヨーグルトとシリアル。消化器官の健康や心臓病の予防で食べている人が多いようだ。他にも、コレステロールの管理に役立つバターやマーガリン、満腹感を得られるシェークやバー、関節の機能や免疫力を高める働きのある飲料も人気を呼んでいる。

世界の機能性食品市場では、栄養を強化した牛乳、エネルギードリンク、プロバイオティクス・ヨーグルト、スポーツドリンク、シリアル、ビスケットが2013年の売れ筋商品になっていることが、市場調査会社ユーロモニターの調べで明らかになっている。

機能性食品とは、体の調子を整える栄養成分を強化した食品のことで、法的な定義は確立されていない。機能性食品というと最近出てきたもののように思われがちだが、実はアメリカではかなり前から販売されていた。当初の機能性食品としては、モートン社が1924年に発売したヨードを加えた食塩がよく知られている。ヨード不足で発症する甲状腺腫の予防を謳った。その後、アメリカでは骨を強くするためのカルシウムを添加したオレンジジュースなど、さまざまな栄養成分を添加したバラエティー豊かな機能性食品が販売されるようになる。

世界の機能性食品の市場規模のトップはアメリカ、次いで日本 

健康関連業界紙「ニュートリション・ビジネス・ジャーナル」の2013年統計によると、アメリカにおける2012年の機能性食品の売上げは前年比6.9%増の439億ドルで、世界でも最大規模の機能性食品大国となった。カテゴリー別にみると、売上げトップは飲料で2位がブレッドや穀物、次いで、パッケージ入り食品、スナックフード、乳製品、調味料、フルーツ・野菜の順に続く。ジャンル別では、エネルギー強化、食物不耐性、健康一般、消化器官の健康、美容を謳った機能性食品が急成長している(ユーロモニター 2014年調査)。

世界市場での機能性食品の売上げも好調で、2012年は前年比5%増の1180億ドル。市場調査会社リサーチ・アンド・マーケットが最近発表した調査報告では、世界での市場は2015年までに2300億ドルを超えるものと予想されている。なお、国別ではトップがアメリカ、2位が日本、3位がイギリス、4位がドイツとなっている。

アメリカの機能性食品の2014年トレンド 

世界的規模での機能性食品の売上げ増加が期待される中、アメリカでは、サプリメントのユーザーが機能性食品にも関心を示している。そのため、目新しくユニークな栄養素を含んだ商品の需要がますます高くなっており、その中でもプロバイオティクスは特に高い関心を集めている。

市場調査会社Marketsand Marketsによると、アメリカでの機能性食品ブームに乗ってプロバイオティクス市場は、2012年から2017年まで毎年平均約6.8%成長するものと予想される。ヨーグルトや飲料に加え、チョコレートやアイスクリームといった斬新な商品の開発が市場拡大にさらに拍車をかけると予想される。

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