ワールドヘルスレポート

海外の健康や医療に関する旬なニュースをお届けしています。
2008年記事
-
2008年12月記事 vol.55 腸内環境整える発酵食品 米代替医療調査センターで研究支援
腸内環境を整えて、免疫力を高め、老化を防ぐ—。肉食に偏りがちなアメリカ人の間で、腸内の有用菌を増やす発酵食品に関心が集まっている。 アメリカでの発酵食品の市況を報告する。 「ミソスープ」、ヘルシーフードの仲間入りに アメリカで今、「ミソスープ」が人気だ。「ミソスープ」とは、言うまでもなく、味噌汁のこと。栄養豊富な大豆を発酵・ペースト状にした味噌スープがアメリカ人の間で大ブレイク中だ。 これまで、「カゼにスープ」といえば、「チキン」が定番だった。最近では「ミソ」がそれにとって代わった。ヘルシーフードとしてアメリカの食文化にすっかり定着している。 もともと大豆は、アメリカの食卓でポピュラーな存在ではない。それが、ここ数年にわかに脚光を浴びるようになった。 アメリカで女性のがん罹患第2位の乳がんや動脈硬化など、死亡原因の上位を占める疾患がアジア諸国に少ない—。そうした要 […]
-
2008年11月記事 vol.54 米国女性のがん死因第2位に乳がん 代替療法の利用者増加
米国では女性8人のうち1人が、生涯に乳がんと診断されている。乳がんは、女性のがん死因の第2位。とはいえ、乳がんの予防や術後のケアにと代替医療に取り組む女性たちも増えている。米国の乳がんと代替療法の利用状況を報告する。 2007年の乳がん発症者、17万8000人 米国でがん告知された女性のうち、最も多いのが皮膚がん、それに続くのが乳がん。2007年に新たに乳がんと診断された女性は17万8480人で、約4万人が乳がんで亡くなっている。 米国がん協会によると、転移のない乳がん患者の5年生存率は、1950年代は80%だったが、現在は98%と高い。早いうちに発見すれば、乳がんは怖くないと、自己チェックする女性も増えている。National Breast Cancer Foundation (NBCF)の推定では、乳がん患者の約70%が、自己チェックでしこりを見つけているという。 乳がん予防や再発防 […]
-
2008年10月記事 vol.53 ADHD(注意欠陥多動性障害)やアレルギー疾患 危ぶまれる子供達の健康
子供達の健康が危ぶまれている。特に、ここ数年問題視されているのがADHD児童の増加。食品や環境の悪化が影響しているとみられているが、アレルギー疾患と同様に対策が急がれている。ADHD発症の背景や対策を報告する。 子供の注意欠陥多動性障害に、15%の親が心労 9月5日付けのUSA TODAYで、子供の健康問題でADHD(注意欠陥多動性障害)を挙げる親が15%にのぼることが分かったと報じている。 米国立健康統計センターが、4-17歳の男女1万7000人を対象に行った調査で、ADHD児童が男児で5人に1人、女児で10人に1人の割合でいることが明らかになったという。 ADHDは、不注意、多動性、衝動性といった気質が際立つ障害で、幼児期より落ち着きの無さやかんしゃくなど情緒不安定な言動が目立ち、12-13歳頃まで集中力の欠如といった性向が見受けられる。 原因については、食品や大気に含まれる化学物質 […]
-
2008年9月記事 vol.52 ベビーブーマーが高齢化、 米国で迫られるアルツハイマー症対策
アメリカ人の平均寿命が伸びている。しかし、その裏で、高額の医療費に生活苦を強いられる高齢者も増えている。アメリカの高齢者の現状と、アルツハイマー予防など健康に関する最新研究報告についてまとめてみた。 米総人口の12%が65歳以上、平均寿命は78.1歳に 今年6月、米国疾病予防管理センター(CDC)の統計で、アメリカ人の平均寿命が78.1歳と過去最高を記録したことが分かった。人種および性別では、白人男性が76歳、女性が81歳、黒人男性が70歳で女性は76.9歳だった。 Federal Interagency Forum on Aging-Related Statisticsの報告書「Older Americans 2008」によると、アメリカ総人口の約12%に当たる3,700万人が65歳以上と推定、1946年から1964年までに生まれたベビーブーマー世代が高齢化しており、2030年には7, […]
-
2008年8月記事 vol.51 米国で深刻化する肥満、トランス脂肪酸が原因の一つに
アメリカで肥満が深刻化している。2015年には大人の2人に1人が肥満になるという研究報告もある。カリフォルニア州では、飲食店でのトランス脂肪酸の使用禁止条例を出すなど本格的な対策に乗り出した。アメリカにおける肥満の現況を報告する。 アメリカ人の成人約26%が肥満 「ごちそうさま」。この言葉は、アメリカ人にとっては「たいらげる」という意味合いを持つ。目の前にある食べ物がなくなった時点で「ごちそうさま」となる。ところが、同じ言葉でも、フランス人には「おなか一杯」で食べるのを止めるという合図になる。 雑誌プリベンション08年7月号が、シカゴのアメリカ人とパリのフランス人合わせて約300人を対象に、アメリカ人の20%が肥満なのに、なぜ、フランス人は5%なのか調査したところ、上記のような言葉のニュアンスにも肥満化するアメリカ人の国民性がかいま見られたという。 今年7月、疾病予防管理センター(CDC […]
-
2008年7月記事 vol.50 NCCAM(米代替医療調査センター)、 患者と医師との情報交流を促進
多くの無保険者、高額な医療費などの問題を抱える米国では、90年代に入り、国民の間で代替医療(非西洋医療)への関心が高まる。ネットでの情報も代替医療普及に一役買った。90年代後半には国立衛生研究所(NIH)内に代替医療の調査センター(NCCAM)が設立、代替医療の有効性が本格的に検証される。NCCAMの近況を報告する。 代替医療の利用を医師に告げる患者はまだ少ない 米国では1998年、代替医療の有効性と安全性を明らかにするため、国立衛生研究所(NIH)内にNCCAMを設立、代替医療の臨床研究を精力的に行う。 これにより、代替医療の有効性が科学的に裏付けられるとともに、近代医療との統合という新たな道も開ける。 現在、メイヨー・クリニックをはじめ、デューク大学医療センター、カリフォルニア大学医療センターといった名門病院で、鍼療法、マッサージなどの代替医療が近代医療と併用されている。 年々、国民 […]
-
2008年6月記事 vol.49 増える心の病、必須脂肪酸の摂取比率が一因に
今、アメリカで心の病を抱える人々が増えている。競争社会、ストレス社会といわれるアメリカでは、“癒し”をもたらすハーブやサプリメントのニーズが高い。うつ人口の現状と心の癒し法についてまとめてみた。 2,100万人以上がうつ病、自殺は年間3万件 メンタルヘルスアメリカ(元全米メンタルヘルス協会)によると、現在、アメリカのうつ病患者は2,100万人を超えるという。また、毎年約3万人が自殺しているが、主にうつ病が原因とみられている。うつ病で会社を休むなどの経済損失は年間約310億ドルにものぼるという。 昨年11月、メンタルヘルスアメリカとトムソンヘルスケアが共同で、全米50州におけるうつ病と自殺件数に関するデータを分析し、報告している。ちなみに、うつ病患者が少ない州のトップ5は、サウスダコタ、ハワイ、ニュージャージー、アイオワ、メリーランド。 自殺の少ない州は、コロンビア特別区、ニューヨーク、マ […]
-
2008年5月記事 vol.48 米国で空前の和食ブーム、「大豆」食品に熱い視線
今、アメリカでは空前の「和食」ブームが起きている。中でも、健康効果で注目されているのが「大豆」や「緑茶」。心臓病大国のアメリカで、対応素材として消費者の関心も高く、大手スーパーもこぞって品揃えしている。今や、「スシ」をはじめ、「トウフ」、「ゲンマイチャ」など、日本食の呼称がそのままアメリカで通じるほどだ。 この2、3年で30%近い売り上げの伸び マーケティング会社パッケージドファクトが今年4月に発表した調査報告によると、2007年度のアメリカでの大豆食品(豆乳など飲料も含む)の売り上げは、前年比7%アップの約20億ドル。2003年–2005年では29%の伸びで、今後も順調な推移が見込まれ、2012年には30億ドル市場に膨れ上がると予想されている。 売れ筋は豆乳とスナックバー。また、日本でお馴染みの枝豆もブームだ。手軽に食べられるヘルシーフードとして、ビールのつまみやサラダにと […]
-
2008年4月記事 vol.47 「ツボ刺激」+「意識」で気の流れを調整 鍼を使わない(感情の)鍼灸、EFT療法
体の気の流れを調整する健康法では太極拳、代替医療では指圧や鍼灸がよく知られる。ともに経絡や経穴を刺激し、気の流れをスムーズにする。さらにこれに「意識」をかけることで、気を高め、身体に活力をもたらすというのがEFT(Emotional Freedom Techniques)療法。「針を使わない(感情の)鍼灸」として、今注目されている。 ツボをタッピングしながら心身のトラブルに意識を集中 EFTは、Emotional Freedom Techniques(感情解放テクニック)の略で、アメリカでスタンフォード大卒のエンジニア、ゲアリー・クレイグ氏が開発した。 EFTでは、心身の不調はエネルギー(気)の乱れから生じると考える。そこで、主に顔や胸周辺のツボを指で軽く叩き気の流れを整えることで、体や心の不調を解消する。 ツボを刺激する点では指圧と同じだが、EFTでは、患者は解消したいネガティブな感情 […]
-
2008年3月記事 vol.46 花粉症対策、自然なツボ指圧療法が話題
3月、ポカポカ陽気の続くカリフォルニア州ロサンゼルスでは、本格的な花粉症シーズンを迎える。ナチュラル志向の強い当地では、花粉症も自然療法に頼る人が少なくない。今回、米国で話題のナチュラルな花粉症対策を報告する。 花粉症に悩むアメリカ人は推定3800万人 アメリカでは約5,000万人がアレルギー疾患を抱え、うち3,800万人が花粉症に苦しんでいるといわれる。 2002年の統計では、延べ1,400万人がアレルギー性鼻炎で医者を訪れ、アレルギー疾患による毎年の医療費は180億ドルにのぼるという。 こうした中、2007年10月、フロリダ州タンパに100%自然療法によるアレルギー専門のクリニック「Advanced Allergy Relief Centers of Tampa Bay」がオープンした。5人に1人が何らかのアレルギーに悩んでいるといわれるアメリカ。新クリニックの登場に熱い視線が注がれ […]
-
2008年2月記事 vol.45 糖尿病から発がんリスク低下まで、ウォーキングの効用
前回、メタボリック対策で菜食の効用を報告したが、今回はエクソサイズ(運動)がもたらす効果を報告する。すでに、さまざまなエクソサイズが健康作りに有益であることは周知だ。軽いウォーキングにしても糖尿病やがんの発症リスクを軽減することが報告されている。 毎日30分のウォーキングでメタボを解消 一頃、アメリカのビジネスマンの間でベルトの穴が一つ増えると、管理職への道が遠ざかるといわれた。自身の健康管理を出来ない者が他人を管理できるはずがないと指摘され、ジョギングやエクソサイズに励む人々が増えた。 とはいえ、相変わらずポッコリ腹のアメリカ人は多い。米国では成人人口の4分の1がメタボリックシンドローム(代謝症症候群)と推定されている。 何か、これを解消する方法はないものだろうか。激しいエクササイズでなくても、ウォーキングのような軽いものでもメタボ対策に十分効果はある。 American Journa […]
-
2008年1月記事 vol.44 メタボや糖尿病対策に、菜食の健康効果
ここ数年、狂牛病や鳥インフルエンザ報道などの影響で、世界的に魚の摂食に関心が集まっている。魚や野菜を中心とした食生活が健康に有益であることは周知だが、米国では肉や卵など動物性食品を一切避け、菜食のみのビーガン(完全菜食)信奉者もいる。菜食の効用とは。 Ⅱ型糖尿病に低脂肪・ビーガン食が有効性を発揮 菜食が疾患予防に有用であることは、さまざまな疫学調査で報告されている。一般的に、動物性食品を排除し、野菜や穀類中心の食生活をする人々を、ベジタリアンと呼ぶ。 米国栄養士学会の定義では、「ベジタリアンは、動物性食品を避け、穀物、豆類、種実類、野菜、果物を中心に摂る人」とある。米国のベジタリアン人口は成人人口の1%~2.8%といわれる。 一口にベジタリアンといってもさまざまで、肉や魚はダメだが、卵や乳製品を摂る人々を、ラクト・ベジタリアン、オボ・ベジタリアンなどと呼ぶ。 さらに、肉、魚、卵、乳製品、 […]