米国女性のがん死因第2位に乳がん 代替療法の利用者増加 

米国女性のがん死因第2位に乳がん 代替療法の利用者増加 

米国女性のがん死因第2位に乳がん 代替療法の利用者増加 

kaigai53 米国では女性8人のうち1人が、生涯に乳がんと診断されている。乳がんは、女性のがん死因の第2位。とはいえ、乳がんの予防や術後のケアにと代替医療に取り組む女性たちも増えている。米国の乳がんと代替療法の利用状況を報告する。

2007年の乳がん発症者、17万8000人

米国でがん告知された女性のうち、最も多いのが皮膚がん、それに続くのが乳がん。2007年に新たに乳がんと診断された女性は17万8480人で、約4万人が乳がんで亡くなっている。

米国がん協会によると、転移のない乳がん患者の5年生存率は、1950年代は80%だったが、現在は98%と高い。早いうちに発見すれば、乳がんは怖くないと、自己チェックする女性も増えている。National Breast Cancer Foundation (NBCF)の推定では、乳がん患者の約70%が、自己チェックでしこりを見つけているという。

乳がん予防や再発防止で、代替療法に関心を寄せる女性が増加

乳がんは怖くないという認識が高まったせいか、がん告知後も前向きに治療に取り組む女性たちが増えている。 フロリダ州タンパにあるサウスフロリダ大学看護学部が2002年に発表した調査報告では、乳がんと診断された女性で代替療法を利用する患者が増えているという。 調査では、乳がんと診断された平均年齢59歳で主に白人の女性105人を対象に、33の代替療法の利用率について調べている。

その結果、64%がビタミンやミネラルを、33%が抗酸化サプリ、ハーブ、健康食品を常用していることが分かった。また、ストレス緩和のため、49%が祈りの療法やスピリチュアル療法を、21%が笑いの療法を利用していた。 利用頻度については、化学療法に先立ち、頻繁に代替療法を利用している患者が目立った。また、高学歴の患者や既存医療に不満の多い患者の利用度が高かった。

術後の生活改善で代替療法を利用する患者も多い。 ウエスタンオレゴン大学の研究員が、平均3.5年前に乳がんと診断され、既存の治療に成功した女性551人を対象に、15の代替療法の利用について聞き取り調査を実施したところ、66%が代替療法を過去1年間に少なくとも1回試したことがあると答えている。

内訳をみると、医者の勧めで試してみたという患者は、ほとんどいなかった。また代替療法を利用する理由として、生活の質を向上させる、再発防止を自分の力でコントロールする、免疫力を向上させる、ストレスを減らす、などがあった。

トランス脂肪酸、肥満ばかりか乳がんリスクにも関与

乳がん予防のために、日頃の「食」内容にも気をつける必要がある。
最近の報告では、トランス脂肪酸が乳がんリスクに関与していることが指摘されている。 一昨年、米国ニューヨーク市保健委員会が、市内の飲食店にマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸を1食あたり0.5g未満にするよう、罰則規定を定めたことが話題になった。トランス脂肪酸は、悪玉(LDL)コレステロールを増やし、善玉(HDL)コレステロールを減少させる。そのため、肥満や心臓病防止 の必須対策として打ち出された。

American Journal of Epidemiology誌08/4月号に掲載された記事によると、University of Paris-SouthのFrench national scientific research center研究者グループが1995~1998年に食習慣および生活習慣調査に応じた女性25,000人の経過観察を行った(この間、363人が乳がん と診断)。結果、トランス脂肪値が最も高いグループは最も低いグループに比べ、乳がんリスクが2倍になることが分かったという。一方、魚油などに多く含ま れる多価不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸については、影響は見られなかったという。

日本でも乳がんが増えつつあるが、米国女性8人に1人に対し、日本女性の乳がん罹患率は20人に1人と低い。その要因として、日頃摂っている大豆や食物繊維、緑茶など日本の伝統食の効用が挙げられている。
日本の厚労省研究班は、40~59歳の女性約2万人を対象に、10 年間追跡した調査で、味噌汁を1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べ、乳がんの発生率が40%低いことが判ったと報告している。

また、International Journal of Epidemiology誌07/2月号に掲載された記事によると、食物繊維の摂取が若年層の女性の乳がん予防に役立つという。University of Leeds研究者グループが、UK Women’s Cohort Study(UKWCS)のデータ(217項目の食物関連調査(FFQ)に基づき女性の食物摂取を査定)を分析したところ、総食物繊維摂取が30g以上/日のグループは20g以下のグループと比べ、閉経期前の女性で乳がんの危険性が52%減少していることが分かったという。

緑茶についても、今年発表されたミシシッピ大学医療センターの研究報告によると、生後7週間のメスのネズミにがん細胞を注入し、1)グループに緑茶に含 まれるカテキンの1種、EGCG入りの水を、2)グループにEGCGの入っていない普通の水を、それぞれ5週間与えた実験では、1)グループに、乳がん細胞の増殖の阻止がみられたという。

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