ワールドヘルスレポート

海外の健康や医療に関する旬なニュースをお届けしています。
2009年記事
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2009年12月記事 vol.67 ハーブ新研究に予算、効果検証で仕分けも
昨年来、米国にかつてない不況の嵐が吹き荒れている。高い失業率に、蔓延する雇用悪化。頼りになるのは自身の健康だけ。健康維持に手軽に利用できるものといえば、やはりハーブ・サプリメントだが、米国の最近の市況はどうか。 量販店や大手スーパーで、クランベリーや大豆、ガーリックが健闘 非営利団体American Botanical Council(ABC) の機関紙Herbal Gramに掲載された米国ハーブ市場の2008年の売上総額は推定で48億ドル。前年比で1%増となった。 同統計は、市場調査会社Information Resources Inc.(IRI) 、Nutrition Business Journal (NBJ) 、SPINSのハーブ・サプリメント販売統計をまとめたもの。 販路別では、量販店や大手スーパーマーケットなどの主要販路で2億8924万8200ドル、前年比7.16%のアップと […]
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2009年11月記事 vol.66 米国DSHEA(栄養補助食品教育法案)がバッシング 揺れる米国サプリメント業界
科学的な根拠が明らかであれば効能表記ができる—。1994年、米国でDSHEA(栄養補助食品教育法案)が成立した。法案の施行後、米国サプリメント業界に追い風が吹き、市場は2ケタ台の伸びを示した。そのDSHEAが今、パッシングの憂き目にあっている。違法サプリメントが続出したためだ。マスコミのDSHEA叩きで揺れる米国サプリメント業界を報告する。 ダイエットサプリメント、医薬品成分含有で回収 この1年、医薬品成分を含む違法サプリメントの自主回収という不祥事が相次いでいる。 昨年12月、FDA(米食品医薬品局)はダイエット効果を謳った28種類のサプリメントにシブトラミン、ブメタニドなどの医薬品成分が含まれ、人体に害を及ぼす恐れがあると警告、メーカーに自主回収を勧告した。 こうしたサプリメントは、今年1月に69種類、3月には72種類と増え、医療機関はただちに服用を止めるよう訴えた。 そ […]
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2009年10月記事 vol.65 景気悪化でストレス解消求める人口が増加
失業、住宅差し押さえ―不況によるそんな不安から眠れぬ夜を過ごすアメリカ人は少なくない。今、米国では心と体の癒しを求め、スパやリラックスをもたらす飲料水のニーズが高まっている。さらに、こんなときは昼寝でも、と開き直るわけではないが、そのリフレッシュ効果が改めて見直されている。不況をタフに乗り切る米国の現状を報告する。 アメリカ人の8割、不況でストレスに 経済のニュースを見れば、失業、住宅価格の下落、住宅差し押さえ、消費力後退といった暗いものばかり。 悪化し続ける雇用情勢に、消費者は財布の紐をしめるだけでなく、強いストレスを感じている。 米国心理学協会の2008年調査によると、「経済がストレスの大きな原因になっている」と答えたアメリカ人は、同年4月は66%だったが、9月には80%にアップ。うち、49%が景気悪化で神経過敏になり、49%がうつ状態という。 また、ローンを払えずに住宅差し押さえに […]
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2009年9月記事 vol.64 「国民皆保険」めざすオバマ政権、支持率低下で苦戦
「国民皆保険」を提唱するオバマ大統領が、支持率低下で苦戦を強いられている。9日、上下両院合同会議で、医療改革の意義を熱く語るオバマ大統領の姿が全米でテレビ中継されると、支持率がわずかに上昇したものの、改革法案の年内決着についてはいまだ不透明だ。米国の医療保険の現状を報告する。 医療保険未加入者は4,630万人 夜中、体の具合が悪くなりER(救急室)に駆け込むと、おそろしく混み合う待合室で、ゆうに2時間は待たされることになる。まったく、「救急」の意味をなさないが、米国でERに行ったら4、5時間は待たされる、というのが今や常識になりつつある。 待合室の窓口で聞こえてくるのは、「医療保険を持っていますか?」「持っていない」という患者と病院側とのやりとりばかり。もはや、ERは無保険の患者の駆け込み寺と化している。 患者が急病で病院を訪れたら、医療保険を持っていなくても病院側は拒否できない。 治療 […]
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2009年8月記事 vol.63 米国での代替療法利用者、成人人口の約38% NCCAM(代替医療センター)が最新報告
いったいアメリカ人は代替療法にどれほど費用をかけているのか。そんな疑問への答えが、先月、疾病予防管理センター(CDC)が2007年に実施した調査のデータ分析から明らかになった。アメリカ国民が代替療法にかけるコストに関する統計が発表されたのは10年ぶり。詳細を報告する。 高額な医療費請求で破産申請をする人が後を絶たない 8月中旬、ロサンゼルスで、無料診療が受けられるイベントが8日間にわたり開催された。期間中、 この機にばかりと、会場には、無保険の大人や子供が大勢詰めかけ、数千人が場外にあふれた。 イベントを主催したテネシー州を拠点とする非営利団体「リモート エリア メディカル」によると、ボランティア3,827人が繰り出し、大人と子供合わせて計6,344人に、総額282万1383ドルに相当する無料の医療サービスが提供されたという。 米国には医療保険が高すぎて加入できない人々が大勢いる。 しか […]
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2009年7月記事 vol.62 ベビーブーマー世代の高齢化で、 米国アンチエイジング市場が好況
米国でベビーブーマー世代(団塊の世代)の高齢化を背景に、アンチエイジング市場が好調だ。健康への関心が高く消費力のある同世代をターゲットにした健康関連商品の需要は高まるばかり。不況知らずの米国アンチエイジング市況を報告する。 「老い」を前向きにとらえ、健康に投資 米国のどこかで毎日、約8,000人が60歳の誕生日を迎えている。 疾患予防対策センターによると、米国で65歳以上の高齢者は2030年までに7100万人に達するという。2000年の3500万人からわずか30年たらずで2倍に膨れ上がるというわけだ。 国勢調査局も、1946年から1964年までに生まれたベビーブーマー世代の高齢化で、2030年までに高齢者人口は8200万人に達すると推定している。 「高齢化」というと「衰え」というネガティブなイメージがつきものだが、ベビーブーマー世代は避けることのできない「加齢」を前向きにとらえているよう […]
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2009年6月記事 vol.61 ストレスで頭痛人口が増加、鍼やヨガで痛みを解消
米国では10人のうち7人が年に少なくとも1回は頭痛に苦しめられているという。ストレス社会・米国で頭痛に悩む人々は増える一方だ。毎年6月には、「頭痛への認識を高める週間」も設けられている。米国での頭痛の罹患率、代替療法による頭痛解消法についてまとめてみた。 4500万人が慢性の頭痛持ち、肥満も一因に 全米頭痛協会によると、慢性的な頭痛に悩むアメリカ人は4500万人。ひとくちに頭痛といっても、二日酔いからくるもの、目の酷使によるもの、生理中におこるものなどいろいろだ。中でも多いのが、ストレスや不安がもたらす頭痛で、片頭痛、群発性頭痛、副鼻腔炎による頭痛。 頭痛の代表格である片頭痛で悩むアメリカ人は全米で4世帯につき1世帯の割合、約2950万人にのぼるといわれる。 片頭痛を訴える人の7割が女性で、男女ともに20歳から45歳あたりに最も発症者が多い。 片頭痛による仕事の欠勤などで、経済に与える損 […]
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2009年5月記事 vol.60 安全・安心でオーガニック市場急伸、 食品から衣類まで高まるニーズ
食の安全や環境汚染への不安から、米国でオーガニック市場がますます活況を呈している。食品だけでなく、衣類や化粧品でも「ORGANIC」表示に惹かれる消費者が急増、安全で体に良いという信頼感を寄せている。米国の最新オーガニック市況を報告する。 2008年のオーガニック商品の売り上げは246億ドル 首都ワシントン。今年、オーガニックがちょっとした話題になった。ファースト・レディのミッシェル・オバマ夫人がホワイトハウス内で野菜や果物のオーガニック栽培に汗を流した。農務省本部内には「ピープルズ・ガーデン」という名のオーガニック菜園もお目見えした。 今、米国ではオーガニック市場がパワフルだ。今年5月、オーガニック流通協会(OTA)が発表した市場調査によると、米国で2008年のオーガニック商品の売上高総額は約246億ドルで、前年比17.1%増。 オーガニック市場の主力である「食品」をみると、売上高総額 […]
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2009年4月記事 vol.59 オバマ政権、「食の安全確保」への取り組みを強化
豚インフルエンザ勃発で食への不安が世界中を駆け巡っている。食品汚染の報道が頻発する米国では、この3月にも、オバマ大統領が「食の安全確保」に向けた取り組みの強化に乗り出したばかり。米国における食品汚染の現状、食の安全に関する最新世論調査の結果を報告する。 サルモネラ菌汚染で食品を回収 今年1月、クッキー、クラッカー、アイスクリームなど菓子原料用のピーナッツバターを製造するピーナッツ コーポレーション オブ アメリカが自社商品の回収に踏み切った。同社のピーナッツバター使用の食品がサルモネラ菌汚染の恐れがあると指摘された。 米疾病予防管理センター(CDC)によると、前年9月から今年1月までに、全米46州で683人がサルモネラ菌に感染、9人が死亡したという。 「サルモネラ菌汚染でピーナッツ回収」「大腸菌汚染でホウレンソウ回収」―-。 米国ではここ数年、こうした食品汚染の報道が頻発している。 そう […]
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2009年3月記事 vol.58 がん撲滅対策が奏功、大腸がん減少へ
アメリカで、3月は大腸がんの予防月間にあたる。70年代に入って、アメリカは国をあげてがん撲滅に乗り出す。中でも、大腸がんは早期発見や食生活の改善が功を奏し、罹患率・死亡率ともに減少している。アメリカにおけるがん撲滅対策の経緯と現状について報告する。 がん撲滅宣言から投じた研究費は1兆ドル アメリカで大腸がんにかかわる医療費は、年間で84億ドルにのぼると推定されている。 米国国立がん研究所(National Cancer Institute)によると、大腸がんの罹患率および死亡率は男女ともに第3位。ここ10年、罹患率・死亡率ともに減少傾向にある。 1970年代半ば、アメリカ人の大腸がん罹患率は10万人につき約60人の割合だった。5年生存率は約51%。それが、2004年には10万人につき約48人になる。罹患率は1984年から2004年で26%に減少。5年生存率は、男女ともに約65%改善された […]
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2009年2月記事 vol.57 米国で増える食物アレルギー人口 アレルギーレス食品の需要が急伸
アメリカではここ数年、食品を購入する際に表示をチェックする人々が増えている。環境や食品の安全性に関心を寄せる消費者に人気のマーケット「トレーダー・ジョーズ」でも、表示に目をとめる購買客の姿が見受けられる。チェックポイントはアレルギー成分の有無。アメリカで年々高まるアレルギーレス食品のニーズを報告する。 小麦やライ麦のグルテン、100人に1人がアレルギー反応 栄養成分に原産地、食品購入の際、消費者はなにかと表示を気にかける。残留農薬や遺伝子組み換えなど食品を取り巻く環境は消費者に常に食品の安全性のチェックを怠らないよう促す。 この数年、食品の品質以外に消費者が目を凝らさなければならないことがまたひとつ加わった。食品に含まれるアレルギー成分の有無だ。 アメリカでは少なくとも1種類の食品にアレルギー反応を起こす人が1200万人といわれる。中でも、小麦やライ麦などに含まれる蛋白質の一種グルテンに […]
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2009年1月記事 vol.56 全粒穀物、アメリカ人の理想とする健康食のトップに
アメリカで今や健康食の代名詞となった全粒穀物(whole grains)。がんや心臓病の予防効果の表示を米連邦食品医薬品局(FDA)が認めたこともあって、「Whole Grains」と書かれた商品が飛ぶように売れている。アメリカの全粒穀物ブームを報告する。 70種類の食品・飲料水の中で、最も健康効果が高いと評価 大手マーケティングリサーチ・コンサルティング会社「ディシジョン・アナリスト」が全米の大人約4,000人を対象に行った調査で、全粒穀物がアメリカ人の理想とする健康食リストの第1位に躍り出た。 調査では、健康に良いとされる70種類の食品・飲料水リストの中から、最も健康効果が高いと思われるものを選ばせた。 結果、トップが全粒穀物で59.5%、次いでブロッコリー57.6%、バナナ56.9%、オートミール56.1%、緑茶55.1%となった。 全粒穀物の人気は他の調査でも明らかになっている。 […]