米国での代替療法利用者、成人人口の約38% NCCAM(代替医療センター)が最新報告

米国での代替療法利用者、成人人口の約38% NCCAM(代替医療センター)が最新報告

米国での代替療法利用者、成人人口の約38% NCCAM(代替医療センター)が最新報告

kaigai62 いったいアメリカ人は代替療法にどれほど費用をかけているのか。そんな疑問への答えが、先月、疾病予防管理センター(CDC)が2007年に実施した調査のデータ分析から明らかになった。アメリカ国民が代替療法にかけるコストに関する統計が発表されたのは10年ぶり。詳細を報告する。

高額な医療費請求で破産申請をする人が後を絶たない

8月中旬、ロサンゼルスで、無料診療が受けられるイベントが8日間にわたり開催された。期間中、 この機にばかりと、会場には、無保険の大人や子供が大勢詰めかけ、数千人が場外にあふれた。

イベントを主催したテネシー州を拠点とする非営利団体「リモート エリア メディカル」によると、ボランティア3,827人が繰り出し、大人と子供合わせて計6,344人に、総額282万1383ドルに相当する無料の医療サービスが提供されたという。

米国には医療保険が高すぎて加入できない人々が大勢いる。

しかし、医療保険に加入しているからといって、安心もしていられない。莫大な医療費のかかる病気にでもなれば、さまざまな理由をつけられ保険会社から突然、保険を打ち切られることもある。

今や、高額な医療費の請求で個人破産を申請する人々が後を絶たない。既存医療に頼らずに、鍼やヨガ、ハーブ・サプリメント、ホメオパシーといった代替療法を利用しようとする人々が増えるのも当然だ。

8300万人が代替療法を利用、年間負担額は339億ドル

そうした中、National Center for Complementary and Alternative Medicine(NCCAM) と National Center for Health Statistics(NCHS)が共同で、疾病予防管理センター(CDC)が2007年に実施した国民健康聞取り調査(NHIS)のデータを分析し、アメリカ人が代替療法にかけるコストや利用状況を公表した。

それによると、米国で1年間に成人人口の約38%にあたる約8300万人が代替療法を利用し、約339億ドルを負担していることが分かった。

ちなみに、既存医療と代替療法を合わせた1年間の総医療費支出は約2兆2000億ドルで、代替療法はそのうち約1.5%とわずかだが、医療保険でカバーされていない医療費をみると、総支出の11.2%を占めていた。

代替療法のコスト、セルフケアが約220億ドル

339億ドルにのぼる代替療法への負担総額の内訳をみると、セルフケアが約220億ドルで、全体の64.9%。セルフケアとは、ヨガや太極拳のクラスに通ったり、ホメオパシーを使用するなど、患者・療法士にかかわらず自らが代替療法を利用した場合を指す。

セルフケアで最も支出が多いのが、「ビタミン・ミネラルを除くハーブ・サプリメント」で148億ドル、全体の43.7%を占める。次いで、「ヨガ、太極 拳、気功のクラスに通う」が41億ドルで12.0%、「ホメオパシー」が29億ドルで8.6%、「リラクゼーション・テクニック」が2億ドルで0.6%。

一方、療法士にかかった場合の負担総額は119億ドルで、多かったのが、「マッサージ」で42億ドル、次いで、「カイロプラクティクスとオステオパシー」に39億ドル。

ちなみに、療法士を訪れ、1人が1年間に費やした額は平均121ドル92セント、1回の施術に費やした額は平均29ドル37セントだった。

代替療法士を訪れる人々はここ10年で50%減少

代替療法のコストをめぐる調査結果は1997年にも報告されており、療法士を訪れる人々はここ10年で、6万2880人から3万5420人と約50%減少していることも分かった。

中でも、リラクゼーション療法とエネルギー療法で療法士離れが顕著にみられ、97年から07年に、リラクゼーション療法は1億320万人から2890万人に、エネルギー療法は4000万人から720万人に激減している。これに対し、療法士に頼らないセルフケアによるリラクゼーション療法の利用者は倍増している。

ただ、鍼療法に関しては、07年は推定で約1760万人が療法士を訪れ、10年前と比べると、約3倍に増えている。多くの州で鍼療法がライセンス化さ れ、資格を持つ療法士が急増し、医療費をカバーする保険会社が増えてきたのと、効果を裏付ける研究報告がメディアで盛んに報道されていることが、増加の理 由として挙げられている。

NCCAMのディレクター、ジョセフィン・P・ブリッグス氏は代替療法の利用について次のようにいう。「代替療法を利用しているアメリカ人は多く、代替療法費も増えている。利用者は商品や施術が安全でかつ効果的であるかきちんと知る必要がある。代替療法の研究をさらに進め、エビデンス(科学的根拠)に基づいた情報を提供し、医療関係者と一般市民が正しい医療を選択できるようにすることが重要だ」

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