安全・安心でオーガニック市場急伸、 食品から衣類まで高まるニーズ

安全・安心でオーガニック市場急伸、 食品から衣類まで高まるニーズ

安全・安心でオーガニック市場急伸、 食品から衣類まで高まるニーズ

kaigai59 食の安全や環境汚染への不安から、米国でオーガニック市場がますます活況を呈している。食品だけでなく、衣類や化粧品でも「ORGANIC」表示に惹かれる消費者が急増、安全で体に良いという信頼感を寄せている。米国の最新オーガニック市況を報告する。

2008年のオーガニック商品の売り上げは246億ドル

首都ワシントン。今年、オーガニックがちょっとした話題になった。ファースト・レディのミッシェル・オバマ夫人がホワイトハウス内で野菜や果物のオーガニック栽培に汗を流した。農務省本部内には「ピープルズ・ガーデン」という名のオーガニック菜園もお目見えした。

今、米国ではオーガニック市場がパワフルだ。今年5月、オーガニック流通協会(OTA)が発表した市場調査によると、米国で2008年のオーガニック商品の売上高総額は約246億ドルで、前年比17.1%増。

オーガニック市場の主力である「食品」をみると、売上高総額は約229億ドルで、前年比15.8%増。全米の食品市場でオーガニック食品の占める割合は 3.5%というから、まだまだ成長は期待できる。ちなみに全米の2008年食品市場は前年比4.9%の成長を遂げている。

オーガニック食品の中でも売れ筋トップは野菜と果物で、オーガニック食品市場の37%を占めており、飲料水と乳製品がいずれも14%で2位に付いている。また、売上伸び率でみると、トップは飲料水で前年比40%増、次いでパンと穀物の35%増と続く。

食品以外のオーガニック市場も目を見張る成長ぶりだ。食品を除くオーガニック商品の2008年売上高総額は約16億5000万ドルで、前年比39.4%増と市場規模は拡大している。

ノンフードカテゴリーの商品別伸び率トップは、リネンや衣類を含めた繊維で前年比65%増の4億7200万ドル、次いで生花で54%増の4200万ド ル、ペットフードが48%増の7600万ドル、洗剤などの家庭用商品が42%増の5000万ドル、サプリメントが38%増の5億6600万ドル、パーソナ ルケア商品が19%増の4億4300万ドルと続く。

消費者にかなり浸透した感のあるオーガニック食品に比べ、ノンフードカテゴリーはまだまだ目新しいことから、今後さらに大幅な市場規模の拡大が続くものと予想されている。

オーガニック表示基準に戸惑う消費者も

ところで、消費者はオーガニック商品にどんなイメージを抱いているのか。混ざりけがなく、体に良いうえ、味もいい――そんな消費者のオーガニックイメージを浮き彫りにした調査報告がナチュラルフードマーチャンダイザー誌2008年5月号に掲載された。

農薬やホルモン、化学物質は一切使用せず、動物ならばケージフリー。遺伝子組み換えはもちろん含まれず、消費者の半数近くは、農務省(USDA)お墨付きのオーガニック表示があれば、商品は100%オーガニックだと信じているという。ただし、USAの認定ロゴマークは、商品の重量の95%以上がオーガニック基準に達していれば表示が許可されている。

米国では2002年10月から全米統一基準であるナショナル・オーガニック・プログラムが施行された。統一基準では、遺伝子組み換え(GM)作物のほか、日持ちをよくするためガンマ照射した食品、添加物を含んだ食品、また、ホルモンや抗生物質を投与した動物の畜産品へのオーガニック表示を禁じている。

遺伝子組み換えや照射食品への表示が義務付けられていない中、商品選びのうえでオーガニック表示の役割は大きい。
ところが、選択の拠り所となる表示で戸惑っている消費者もいるという。というのもUSDAの表示は、「100%オーガニック」「オーガニック(95%以 上)」「メイド ウィズ オーガニック(70%以上)」と3段階あるうえ、ここ最近になって、「地元産」という新たな表示が登場したからだ。

自然・オーガニック商品嗜好の消費者850人を対象にしたFoodNavigator-USA.comの調査では、USDAの認定ロゴマークで商品を選んでいると回答したのはわずか4分の1で、10人に7人はパッケージに大きくプリントされた単純明快な「オーガニック・ミルク」「オーガニック・ビーンズ」といった商品名で選んでいるという。USDA認定ロゴの表示はあくまでも任意なので、消費者の間ではそれほどのこだわりはない模様。

同調査によると、商品選びのうえで「オーガニック」と「地元産」のコンビネーション表示がベストだが、どちらかを選べといわれたら「地元産」を優先させるとの結果も出ている。また、市場調査会社ハートマングループの調査でも、対象の52%が農作物選びの際の決めては「地元産」と回答したのに対し、「オー ガニック」は23%と、ここでも「地元産」が優位に。

地元の小さな農家で栽培された農作物なら、採れたてで新鮮なうえ安全というイメージが人気の理由だ。健康食品の老舗ホールフーズや量販店のウォールマートは「地元産」の売り場を拡大し、消費者の購買意欲を刺激している。

ただし、今のところ「地元産」の表示基準はなく、いったいどこまでを「地元」と言っているのか不明なうえ、安全という根拠もないのが現状だ。

TOP