ドクターからの健康アドバイス

掲載10  高血圧のコントロールは自己測定から

高血圧がもたらす障害、心臓、脳、腎臓など主要な臓器に及ぶ

軽症高血圧を含めると、我が国の30歳以上の高血圧者は3000万人と推定されます。高血圧がもたらす障害は、心臓、脳、腎臓など主要な臓器に及びます。ですから中高年の血圧コントロールは、肥満、糖尿病、高脂血症対策と並んで動脈硬化予防の重要な手段となります。

血圧測定は若いうちは定期健康診断でも充分ですが、高血圧家系のある方、高血圧を合併し易い肥満、特に内臓脂肪型肥満、2型糖尿病、高脂血症を有する方では、血圧の自己測定による血圧モニターが欠かせません。

医療機関等での血圧測定に際しては「白衣性高血圧」といって通常生活での血圧値よりも、より高い血圧値を示す場合がみられます。
例えば、中等度の高血圧がみられ薬物療法を行っている場合など医療機関だけの血圧値で治療をすすめていくと、通常の生活では血圧が下がり過ぎてしまっているということが起こり得ますので、高血圧と診断された場合、そして高血圧の治療をしていく場合には、血圧の自己測定による管理が欠かせなくなります。
この際には上腕か手首ではかる血圧測定器を用い、1日の血圧変動を記録して治療上の参考にしてもらいます。

なお医療機関ではかる血圧値は上(収縮期血圧)が140mmHg以上、下(拡張期血圧)が90mmHg以上で異常(高血圧)と診断されます。これに相当する家庭血圧は白衣性高血圧分を差し引く結果、上が135mmHg、下が80mmHgとなり、これ以下へのコントロールが望まれます。

ドクタープロフィール

日本生活習慣病予防協会 理事長 池田 義雄 (いけだ よしお)

経歴

  • 昭和36年(1961年)東京慈恵会医科大学卒。
  • 同大生理学教室、第3内科教室講師、助教授を経て平成5年より同大健康医学センター健康医学科教授。
  • 平成12年同大退任後、現職にて肥満、糖尿病、健康医学を中心に生活習慣病予防活動を推進する一方、日本生活習慣病予防協会、日本食物繊維学会各理事長、セルフメディケーション推進協議会会長、日本肥満学会ほか多くの学会、研究会の役職にあるほか、厚生労働省、薬事・食品衛生審議会委員、共立薬科大学客員教授などにて活躍中。

<主な著書等>
「糖尿病クリニック」新興医学出版(1980)、「糖尿病のスポーツ医学」朝倉出版(1980)、「肥満の臨床医学」(編著)朝倉出版(1986)などの他に、一般向け啓蒙書として、「糖尿病療法のコツ」、「お腹をへこます法---肥満の最新医学」、「糖尿病に克つ」、「こちら健康医学科」、「検査の受け方・検査値の読み方」、「成人病を防ぐ本」、「健康パスポート2000」など、その他論文多数。

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