ドクターからの健康アドバイス

掲載9  インフルエンザの流行に御用心

ワクチンの予防効果は接種後2~4週以降

この冬は、平均的な規模ではあるが、例年より早めのインフルエンザ流行が予測されています(東京都福祉保健局)。インフルエンザは普通の感冒(風邪)とは違って、高熱が出たり、頭痛、関節痛、筋肉痛など、全身症状の強いことが特徴的です。

このため、小児や高齢者では重症化し易く、重い肺炎を起こしたり、小児では急性脳症が引き起こされ、死亡する例もみられる程です。勿論、青壮年層でも仕事を休まねばならないケースも多くみられ、日々の生活に支障が生じがちになり、経済的にも損失が大きくなります。

このため、流行の予測されるインフルエンザの予防対策として、ワクチン接種が広く行なわれています。ワクチンによる予防効果は、 接種後2~4週以降からみられるところから、少なくとも12月中・下旬には済ませておきたいものです。

この冬、わが国では約1,500万人分のワクチンが用意されています。一方、インフルエンザの診断用試薬も1,800万人分準備されていて、同じような風邪症状でも、それがインフルエンザによるものかどうかの判断が正確に行なえる体制が整えられています。

もし、インフルエンザと分かれば、インフルエンザウイルスを特異的にたたける抗ウイルス剤の使用で、インフルエンザの重症化を防ぐことが出来ます。まだ未接種の方は、今からでも遅くありません。最寄りの医療機関での予防接種をお勧め致します。

ドクタープロフィール

日本生活習慣病予防協会 理事長 池田 義雄 (いけだ よしお)

経歴

  • 昭和36年(1961年)東京慈恵会医科大学卒。
  • 同大生理学教室、第3内科教室講師、助教授を経て平成5年より同大健康医学センター健康医学科教授。
  • 平成12年同大退任後、現職にて肥満、糖尿病、健康医学を中心に生活習慣病予防活動を推進する一方、日本生活習慣病予防協会、日本食物繊維学会各理事長、セルフメディケーション推進協議会会長、日本肥満学会ほか多くの学会、研究会の役職にあるほか、厚生労働省、薬事・食品衛生審議会委員、共立薬科大学客員教授などにて活躍中。

<主な著書等>
「糖尿病クリニック」新興医学出版(1980)、「糖尿病のスポーツ医学」朝倉出版(1980)、「肥満の臨床医学」(編著)朝倉出版(1986)などの他に、一般向け啓蒙書として、「糖尿病療法のコツ」、「お腹をへこます法---肥満の最新医学」、「糖尿病に克つ」、「こちら健康医学科」、「検査の受け方・検査値の読み方」、「成人病を防ぐ本」、「健康パスポート2000」など、その他論文多数。

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