ドクターからの健康アドバイス

掲載3  QOLの向上に役立つこと~心の楽しみを持つ

各人各様の心の楽しみ方でQOLを高める工夫を

貝原益軒の書いた養生訓では、益軒の生きた江戸時代の人々の生活をみるにつけ「心を平静にして徳を養う」ことの大事さと、「心の楽しみを知る」ことの効用をしっかりと述べています。

即ち、「ひとり家に居て静かに日を送り、古書を読み、古人の詩歌を吟じ、香を焚き、古法帖(古い名人の筆跡を写した折本)をみて楽しむ。山水を眺め月花を賞し草木を愛し四季の変化を楽しみ酒を少量たしなみ庭の畑で採れた野菜を煮たりするのも、みな心を楽しませ気を養う助けになる。貧賎の人であってもこうした楽しみは何時でも出来ることである。もしこの楽しみを知っていれば、富貴であってもこの楽しみを知らない人よりは優っていると言えるであろう。」(「養生訓」伊藤友信訳・講談社学術文庫より)

生活の質(Quality of life/QOL)の向上にはこのような視点がたいへん重要なのではないでしょうか。

(財)余暇開発センターが行った「健康作りの意識調査」の中から、日頃感じているストレスをどのように解消しているかの質問に対しての答えで、上位だったのは、

①人としゃべったり話を聞いてもらう。
②のんびりする時間をとる。
③テレビを見たりラジオを聴いたりする。
④趣味・スポーツに打ち込む。
⑤酒を飲む。
⑥買い物をする。
⑦寝てしまう。
⑧積極的に自分で解決する。
⑨じっと耐える。
⑩タバコを吸う。
⑪何か食べる。
—となっています。

これらを参考に心の楽しみを満たすための工夫をこらして各人各様にQOLの向上を目指したいものです。

ドクタープロフィール

日本生活習慣病予防協会 理事長 池田 義雄 (いけだ よしお)

経歴

  • 昭和36年(1961年)東京慈恵会医科大学卒。
  • 同大生理学教室、第3内科教室講師、助教授を経て平成5年より同大健康医学センター健康医学科教授。
  • 平成12年同大退任後、現職にて肥満、糖尿病、健康医学を中心に生活習慣病予防活動を推進する一方、日本生活習慣病予防協会、日本食物繊維学会各理事長、セルフメディケーション推進協議会会長、日本肥満学会ほか多くの学会、研究会の役職にあるほか、厚生労働省、薬事・食品衛生審議会委員、共立薬科大学客員教授などにて活躍中。

<主な著書等>
「糖尿病クリニック」新興医学出版(1980)、「糖尿病のスポーツ医学」朝倉出版(1980)、「肥満の臨床医学」(編著)朝倉出版(1986)などの他に、一般向け啓蒙書として、「糖尿病療法のコツ」、「お腹をへこます法---肥満の最新医学」、「糖尿病に克つ」、「こちら健康医学科」、「検査の受け方・検査値の読み方」、「成人病を防ぐ本」、「健康パスポート2000」など、その他論文多数。

他のコラムを見る
TOP