ドクターからの健康アドバイス

掲載6  米国版・がん予防のための食生活14カ条

精製度の低い食品、野菜・果物の摂食など

1997年7月、世界がん研究財団と米国がん研究財団は「Food,Nutrition and the Prevention of Cancer:a global perspective」のタイトルで670頁に及ぶ膨大なレポートを発刊しています。このレポートはいままで食生活とがん予防に関する世界で発表されたおよそ5,000の学術論文を、15人の専門家が丹念に解析した結果をまとめたものです。わが国の「がんセンター」による「がん予防の12カ条」をさらに具体的な内容にしている点が、より参考になります。

  1. 食事内容:野菜や果物、豆類、精製度の低いデンプン質などの主食食品が豊富な食事をする。
  2. 体重:BMI(体重kg÷身長m÷身長m)を18.5~25に維持し、成人期の体重増加は5kg未満にする。
  3. 身体活動:1日1時間の速歩を行い、1週間に合計1時間は強度の強い運動を行う。
  4. 野菜と果物:1日400~800gまたは5皿以上(1皿は80g相当)の野菜類や果物類を食べる。
  5. その他の植物性食品:1日に600~800gまたは7皿以上の穀類、豆類、芋類、バナナなどを食べる。
  6. 飲酒:飲酒は勧められない。飲むなら1日男性は2杯(=日本酒1合)、女性1杯以下。
  7. 肉類:赤身の肉を1日80g以下に抑える(赤身の肉とは、牛肉、羊肉、豚肉)。
  8. 総脂肪量:動物性脂肪を控え、植物油を使用して総エネルギーの15~30%の範囲に抑える。
  9. 塩分:塩分は1日6g以下。調味に香辛料やハーブを使用し、減塩の工夫をする(酢の使用もよい)。
  10. かびの防止:常温で長時間放置したり、かびがはえた食物は食べないようにする。
  11. 冷蔵庫での保存:腐敗しやすい食物の保存は、冷蔵庫で冷凍か冷却する。
  12. 食品添加物と残留物:添加物、汚染物質、その他の残留物は、適切な規制下では特に心配はいらない。
  13. 調理法:黒焦げの食物を避け、直火焼きの肉や魚、塩干燻製食品は控える。
  14. 栄養補助食品:この勧告を守れば、あえてとる必要はなく、がん予防にも役立たない。

以上を踏まえて、やはりもっとも大事ながん予防対策は、野菜、果物をたっぷり摂ってビタミン(A、C)や食物繊維含有食品を十二分に確保することと、禁煙と少酒そして脂肪と塩分の摂りすぎはつとめて避けることに集約されます。

ドクタープロフィール

日本生活習慣病予防協会 理事長 池田 義雄 (いけだ よしお)

経歴

  • 昭和36年(1961年)東京慈恵会医科大学卒。
  • 同大生理学教室、第3内科教室講師、助教授を経て平成5年より同大健康医学センター健康医学科教授。
  • 平成12年同大退任後、現職にて肥満、糖尿病、健康医学を中心に生活習慣病予防活動を推進する一方、日本生活習慣病予防協会、日本食物繊維学会各理事長、セルフメディケーション推進協議会会長、日本肥満学会ほか多くの学会、研究会の役職にあるほか、厚生労働省、薬事・食品衛生審議会委員、共立薬科大学客員教授などにて活躍中。

<主な著書等>
「糖尿病クリニック」新興医学出版(1980)、「糖尿病のスポーツ医学」朝倉出版(1980)、「肥満の臨床医学」(編著)朝倉出版(1986)などの他に、一般向け啓蒙書として、「糖尿病療法のコツ」、「お腹をへこます法---肥満の最新医学」、「糖尿病に克つ」、「こちら健康医学科」、「検査の受け方・検査値の読み方」、「成人病を防ぐ本」、「健康パスポート2000」など、その他論文多数。

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