ドクターからの健康アドバイス

掲載11  サプリメント選びのコツ

今回のお話は、免疫が機能するために欠かせない要素ではありませんが、免疫が機能する“助け”となるものについて取り上げていきたいと思います。それは、「サプリメント」です。昨今の健康ブームや医療費削減政策の影響などにより、「サプリメント」という言葉を知らない人を探すほうが難しいくらい、サプリメントの話題で溢れる時代となりました。そして、実際にサプリメントを摂取している人たちを見かける機会が多くなってきている一方で、サプリメントを摂っているのに、期待される働きが得られなくて困っている人たちも見かけるようになりました。

そもそも、サプリメントとは一体、何なのでしょうか。辞書でその意味を調べてみると、「ビタミンやミネラルなど不足しやすい栄養素を補うための“食品”」という定義が書かれています。サプリメントは薬ではなくて“食品”なのです。法律上、薬でなければ効能および効果を謳うことはできませんので、サプリメントが効くとか効かないとかいった議論は成り立たないのですが、それでも摂るからには期待される働きが得られたいものですよね。そうなりますと、どのようなサプリメントを選んだらいいのかという疑問が湧いてくるかもしれません。

結論からお伝えすると、サプリメントは価格ではなく、“量”と“質”で選ぶようにしましょう。意外に思われるかもしれませんが、サプリメントに関しては、「高かろう良かろう」とは限りません。良心的な価格のサプリメントでも、“量”と“質”が優れているものは実際に存在します。一方で、高価なサプリメントなのに、“量”も“質”もなおざりにして、利益を追求しているものも実在します。ここでいう“量”というのは、“主成分の配合量”のことを指します。単純に、その配合量が多いものを選ぶというのでも間違いではないでしょうが、ビタミンやミネラルなどの栄養素に関しては、厚生労働省が『日本人の食事摂取基準』というものを公表しています。ですので、その基準を参考にされるのも手でしょう。“質”の優劣に関しては、次の3つの点から判断することができます。一つ目は“原材料”。その材料が何処から調達されたものなのか、安全性はどうかといった情報の有無は“質”の判断となるでしょう。二つ目は“製造所”。何処の工場でつくられていて、その工場の品質管理基準がどうかといった情報の有無は、もしかしたら“原材料”の情報以上に大切かもしれません。なぜなら、原材料が優れていても、口に入る最終形状のサプリメントをつくる製造所の品質管理が劣っていたら、健康被害に繋がる可能性が否めないからです。三つ目は“サポート体制”。先述の“主成分の配合量”や“原材料”、“製造所”に関する質問だけでなく、サプリメントが身体の中で働く仕組みや薬との相互作用などに関する質問にも真摯に答えてくれる“サービス・センター”が存在するものを選ぶのが肝要でしょう。

ドクタープロフィール

野口基礎医療クリニック 院長
内科医・産業医
野口 勇人 (のぐち はやと)

経歴

  • 2003年に日本大学医学部を卒業。
  • 研修医時代にオーストラリアの薬物リハビリテーション施設へ留学。
  • そこで病の真の原因と免疫、栄養の大切さを学ぶ。
  • 帰国後、首都圏内の民間病院・クリニックで総合的かつ根本的なケアに関する医療に従事する傍ら、予防医学やセルフ・ケアをテーマとした各種講演活動および動画出演、特別養護老人ホームの産業医活動、被災地ボランティア活動等を展開している。
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