掲載9 「血が流れない」後編
前回の記事では、血の流れを良くするのに役立つ呼吸について紹介しました。今回は、呼吸の他にも役立つ運動を紹介していきます。
前回、紹介をした「仰向けになって行う腹式呼吸」は、寝たきりの状態でもできるという利点があります。また、息を長く吐くことによって、副交感神経を優位にしやすくなるということは、リラックスしやすくなることに繋がります。ですから、前回お伝えしたとおり、就寝前に行うことで寝つきを良くする助けにもなります。
でも、腹式呼吸だけでは物足りないという方も、きっとおられることでしょう。そのような方は是非、「ふくらはぎを鍛える」ことに取り組んでいただきたいです。地球には重力があり、人間は通常、立ったり座ったりしていることが多いため、静脈血は足のほうに溜まりやすいです。一方で、静脈血は筋肉のポンプ作用によって動くわけですから、足のほうに溜まった血を重力に逆らって心臓へ戻すためには、血が溜まりやすい足に近い、ふくらはぎにポンプの役割を与えると良いことになります。実際に「ふくらはぎを鍛える」には、腿(もも)を上げて歩いたり、かかとを上げ下げしたりする運動をすると良いでしょう。
この記事を書いていて、ふと思い付いたことがあります。それは、「呼吸」運動と「ふくらはぎを鍛える」運動を同時に行えば、更に効率良く血の流れを助けられるではないかということです。実は、これらを同時に行う運動法が既に開発され、実践されていることに気が付きました。その運動法は「気功スクワット」と呼ばれています。これは、“食べる順番療法”を考案なされた梶山内科クリニック院長で医学博士の梶山靜夫先生が開発されたもので、もともとは糖尿病対策の運動療法として生み出されたものです。
「気功スクワット」のやり方は、口から息を吐き出しながら両膝をゆっくりと曲げ、鼻から息を吸いながら両膝をゆっくりと伸ばすという動作の繰り返しです。まさに、「呼吸」運動と「ふくらはぎを鍛える」運動とのコラボレーションですよね。ただ、膝の曲げ伸ばし運動となると、運動によって膝に痛みを感じる状態の方は取り組み難いと考えてしまうでしょう。そのような方は、椅子の背に両手をかけて、膝の曲げ伸ばし運動をしてみてください。すると、両手をだらんとした状態で行うよりも、膝への負担が軽減されるのを実感できるはずです。このような方法による「気功スクワット」は屋内でもできますので、天候に左右されず、毎日取り組める運動なのが嬉しいですよね。
【参考文献:血流がすべて解決する/堀江昭佳・著】