掲載2 「血がつくれない」前編
血がつくれない状態のことを、東洋医学の世界では“気虚”と呼びます。気虚とは、身体に必要なエネルギーが不足している状態のことを指しますが、エネルギーの供給源は食事、つまり栄養に他なりません。私たちの身体は食べたもので出来ており、血も食べたもので出来ています。となりますと、血をつくるものを積極的に食べれば良いということになります。
ところが、血がつくれない状態にある人は、往々にして胃腸が弱っていて、栄養を十分に消化吸収できなくなってしまっているかもしれないということを考慮する必要があるのです。したがいまして、「胃腸のはたらきを助けつつ、血をつくるものを積極的に食べる」ことが、血がつくれない状態への解決策となり得るでしょう。血といえば“鉄”を思い浮かべる方が多いかと存じますが、鉄だけをかき集めても、出来上がるのは鉄の塊であり、血ではありません。なぜなら、血の主成分は鉄ではなく、身体をつくる“タンパク質”だからです。タンパク質といえば肉や魚が有名ですが、胃腸が弱っている状態ですと、消化吸収が困難な食べものです。では、何を食べれば良いのでしょう?
その答えは、“大豆”です。大豆は“畑のお肉”ともいわれるくらい、タンパク質を豊富に含む食べものです。特に納豆と味噌がお勧め。胃腸にやさしいだけでなく、胃腸のはたらきを助けてくれる発酵食品であり、血をつくるために欠かせないタンパク質も同時に補給することができるからです。
「何を」食べれば良いか?に気付いたら、「いつ」食べたら良いか?も気になりますよね。結論から言いますと、「毎日“朝食”を欠かさずに摂る」ことが大切です。なぜなら通常、夕食から朝食までの間が一日の中で一番長い時間が空くからです。空腹の時間が長く続けば続くほど、現代人ではあっても、いわゆる飢餓状態に陥ってしまいます。人は飢餓状態になると、筋肉を分解することで活動エネルギーを生み出し、何とか生き残ろうとするため、血をつくるどころではありません。ですから、毎日“朝食”を摂ることで、飢餓状態に陥らないようにすることが血をつくれるようにするためにも大切だということです。
ちなみに、血は主に身体をつくる“タンパク質”で出来ていますから、納豆や味噌汁が出てくる、いわゆる旅館の朝食が理想的なわけです。一方、パンは主に糖質と脂質で出来ており、血をつくるために欠かせない栄養(ビタミン・ミネラル・タンパク質)を消耗してしまいます。ですから、朝食はヘルシーな「和食」がお勧めでしょう。
【参考文献:血流がすべて解決する/堀江昭佳・著】