ドクターからの健康アドバイス

掲載12  機能性食品、「機能性おやつ」とオメガ3

機能性食品の歴史としては「特定保健用食品」(トクホ)が先行して既に1,300件を超す製品が認定されている。 2015年から新たに開始された「機能性表示食品」(FFC)も1年で300件を超す登録が認められた。共に行政が関わる機能性食品であり、製品にはその健康機能性を表示できるものである。一方その他の食品には健康機能性を製品に表示する事は許されていない。

オメガ3(EPA/DHA)はその健康機能については、最も科学的根拠が存在し、既に「中性脂肪が高めの方にお奨め」のトクホとして厚生労働省の許可を受け、また消費者庁登録のFFCとしても「中性脂肪」と「認知機能の一部」の表示がなされている。

最近「機能性おやつ」が注目されている。「1日3食バランス良く」を基本として、上手に間食(おやつ)を利用する事により、健康維持(未病維持)や疾病発症予防のスローエイジング(予防医学的抗加齢)も可能となる事に関心が高まっている。

医療の分野では、対象の分類として疾病の有無別に、①現在、特に病気もなく健康な方(健康人)、②病気ではないが、健康でもない方(通称、半健康人。東洋医学でいう未病。診断名はついていないが、注意を要する方)、③病気を抱えている方(病人、傷病者)に大分類することができる。①の健康人または②の半健康人が「機能性おやつ」を利用する場合、その目的は、将来なるかも知れない疾病を予防したい、今後も健康を保持したい、もしくは今よりも更に良好な状態を手に入れたい、また何となく良さそう等の理由もあるだろう。③の傷病者の場合は、医療機関による治療に加えて、日常生活の中で補助的に付け加えることで、少しでも何か効果があるのであれば・・・等の思いがあるのかもしれない。

いずれにおいても基本的な利用目的は、特定保健用食品や機能性表示食品にみられるような“健康機能”に対する期待とほぼ同様と考えられる。ただ、「機能性おやつ」を利用する目的として、利用者側の意識の中に少し違いがあるとすれば、「おいしい」、「楽しい」、「安らぐ」、「癒される」といった、医薬品やサプリメントには全く無い「おやつ」特有の味や雰囲気に対する期待と、こころの栄養としての期待も考えられ、これらの要素が「機能性おやつ」としては、欠かせない要素であると思われる。

ドクタープロフィール

早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構
規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 研究院教授
矢澤 一良 (やざわ かずなが)

経歴

  • 京都大学卒業、農学博士(東京大学)。
  • (株)ヤクルト本社・中央研究所、(財)相模中央化学研究所にて勤務後、2000年に湘南予防医学研究所設立(主宰)。
  • その後、東京水産大学大学院(現東京海洋大学大学院)客員教授 、東京海洋大学特任教授を経て、現在、早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部 研究院教授。
  • DHA/EPAに関する研究の功績に対する評価により、日本脂質栄養学会より学会賞「ランズ産業技術賞」、マリンバイオテクノロジー学会より学会賞「岡見賞」を授与される。

<主な著書(全著書120冊以上)等>
「マリンビタミン健康法」:現代書林 (1999)、
「ヘルスフード科学講座」:食品化学新聞社(2007)、
「アスタキサンチンの科学」:成山堂(2009)、
「マリンビタミンで奇跡の若返り」:PHP研究所 (2010)、
「機能性おやつ」:扶桑社(2012)など、その他論文・特許出願多数。

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