掲載 8 新型オメガ3「クリルオイル」
クリルとは小エビによく似たオキアミのことで、日本では南極オキアミという名前で釣りエサのまき餌として知られています。食品としても1970年代より未来の食糧資源として知られるようになりましたが、十分に活用されておりませんでした。クリルは動物プランクトンの一種で世界中の海に分布しています。特に南極海には7種のオキアミが生息しており、この中でも最も大型で数が多いのが南極オキアミです。その資源量は4億トンともいわれ、地球最大のバイオマス(生物資源)と言えます。あの巨大なクジラの食欲を満たす主たる栄養源がクリルなのです。その意味でクリルはクジラの活力の源と言えます。日本においても類縁のツノナシオキアミと言う種が三陸から北海道にかけて採取でき、一部食用にされています。
そのクリルから抽出された油脂エキスはヒトにとっても大切な栄養素であることが最近の研究により明らかになってきました。その特徴はDHAが13%以上、EPAが5%以上と高く、しかも体内に吸収しやすい点にあります。本シリーズにて述べてきたように、オメガ3は種々の健康機能を有しています。重要な点は、クリルオイルはこのオメガ3の効果が魚油と比べて高い点であります。その特徴はリン脂質(レシチン)が全体の約半分を占めている点です。その主体はホスファチジルコリン(慣用名はレシチン)で、このリン脂質がDHA・EPAを結合しているために、クリルオイルは魚油と比べて吸収効率が良い事が理由でより高い効果となるのです。通常の魚油から抽出したDHA・EPAはトリグリセリド結合体と言われていますが、これを摂取した場合、消化管の中でリパーゼと言う酵素によりグリセリンとDHA・EPAがそれぞれ一旦分解され、そのあと吸収されることになります。一方、クリルオイルに含まれるDHA・EPAはリン脂質結合型オメガ3であり、リン脂質自体が乳化剤として体内への吸収を促すため、DHA・EPAは効率よく体内に吸収されます。従って、健康効果は魚油より高くなると考えられます。さらに特徴としてはクリルオイルにはアスタキサンチンが含まれており、身体の老化をもたらす活性酸素を消去する働き、すなわち抗酸化作用があります。そのため、アンチエイジングや疲労回復、眼精疲労の改善にも役立ちます。クリルオイルの中にアスタキサンチンが入っているために、DHA・EPAが酸化されにくくなり、DHA・EPAの効果がより強く発揮される点も重要と考えられます。