掲載6 代替療法と西洋医学
代替療法は、1990年代の初頭に欧米で立ち上がってきたものですが、これは西洋医学が人々のニーズにちゃんと応えていないからで、西洋医学がいくら進歩しても治りにくい病気はあるわけです。
がんだけでなく、いろんな変性疾患にしてもアトピーにしても、膠原病にしても、同じことが言えます。それで、西洋医学を信用しないわけではないのですが、足りないところが明らかに分かった以上、他のところに目を向けるというのは自然な見方です。
代替療法とは、西洋医学以外のすべてについていいますので、中国医学もインドのアーユルヴェーダもホメオパシーもシュタイナー医学も、みんな入ってきます。サプリメントも入ってきます。
西洋医学が体を中心に診ていくのに対して、代替療法は、多かれ少なかれ心と命が対象に含まれています。心とか命については、まだ科学的に十分な裏づけができていませんから、そこにアプローチする代替療法にエビデンスが伴うわけはないのです。
ですから、エビデンスを少しでもつけていく努力はしていかなければなりませんが、だからと言って卑下することはありません。エビデンスのない分は、直観のようなもので捉えていけばいいわけです。
西洋医学にはエビデンスはちゃんとあるわけですから、西洋医学側は、「エビデンスのあることは私たちがやりましょう、でもエビデンスがなくても代替療法も可能性はあるからやってください」と、懐を深くすればいいのです。
一方、代替療法側も、「足りないところ、わからないところはあります」といった謙虚さをもってお互いが歩み寄ると、患者さんは幸せになれます。反目し合っていても、足を引っ張り合ってもどうしようもありません。
両陣営が互いに手を差しのべて、その中に患者さんを置く。これからはそうなっていかなくてはいけません。