掲載1 これからの医療と現場
医療とは、患者さんを中心に家族や友人、医師、看護師、心理療法士などが作る「場」のことです。その中でお互いが自分の命の場のエネルギーを高めながら、人の場にも思いをやって相互関係の中で場のエネルギーを高め、その結果患者さんは病を克服し、家族も医療関係者もみんなが癒される。これが本来の医療の姿です。
ところが、20世紀に西洋医学が急速に発展したために、錯覚が起こって医療が混乱してしまいました。医学と医療は、本質的に違います。医療が最前線なら、医学は兵站部みたいなもので、前線で足りなくなった弾薬や食糧を届けるのが医学です。
ここを勘違いしてはいけません。その錯覚から解かれてくると、本来の医療が見えてきて、これからの医療は本来の医療に戻っていくと思います。医療は、また場の営みでもあります。
そして医療という場は、環境の場の中の存在ですから、家庭の場とか職場の場とか、社会の場、自然界の場など、みんな関係があるわけです。エネルギーの高い場に身を置くことによって、患者さんは癒されていくということを、医療の一番の眼目としていかなくてはいけません。
病院の人は病院という場のエネルギーを高めるように日ごろから努力していかなくてはいけません。それによって、患者さんにとってのいい医療ができあがるわけです。