ドクターからの健康アドバイス

掲載3  加齢と美容

加齢とは文字通り、年を重ねることです。人は1年に1歳ずつ年を取ります。加齢においては戸籍上でごまかすことはできませんが、見た目で年より若く見えることは可能です。その逆に実年齢より老けて見える人が多いのも事実です。

その差は何か?について、これまでの私記事で記載してきましたが、いわゆる老化現象が原因です。しかも年齢が上にいけばいくほど、その老化現象は強く表れ、その結果、個人差が激しくなり、見た目も変わってきます。

アンチエイジング医学では、そのような個人差を少なくして、老化するにしてもそのスピードをできるだけ遅くすることと、均質に老化することを目指す、実践的医療を目指しています。

今回のテーマである”加齢と美容”ですが、加齢にともない美容をあきらめている方には、ぜひ読んでもらいたいものとなります。

美容と言えば、美容液やレーザーで皮膚表面を整えるものと思いがちですが、以前からアンチエイジング内科と呼ばれる分野も存在し、皮膚表面のケアの重要性はさることながら、体の内側から美容を達成しようとする医療が存在します。
今回はこのアンチエイジング内科とその実践法について語りたいと考えています。

体を美しく保つ美容は、毎日のライフスタイル、食生活からまず変えなければいけません。私が院長を務めるハートフルクリニックでは、毎月講演会を実施していますが、今月のテーマは「睡眠と健康」と題して語りました。

睡眠一つとっても、その過不足がいかに体に悪いかを、一般の方にお伝えしました。睡眠時間は短くても体に悪いのですが、長すぎても体に悪いものとなります。いずれも死亡率が高くなる、また脳機能が低下するという論文が出ています。

長く寝るより、睡眠不足の方が多い現代社会ですから、睡眠不足あるいは睡眠障害、シフト制勤務など睡眠の不規則について調べると、次のようなことが報告されています。

  1. 死亡率上昇
  2. 脳機能低下
  3. 肥満の危険因子
  4. 糖尿病リスク上昇(女性)
  5. 線維筋痛症リスク上昇(中年女性)
  6. 心臓発作リスク上昇
  7. 多発性硬化症リスク上昇(十代の若者)
  8. その他(甲状腺疾患、発がんリスク、血圧上昇など)

以上のように様々な疾患や病態に関連してきます。

また、明るいところで寝るとこれも糖尿病リスクを上げるという報告もあります。なぜ、このように睡眠障害が健康に悪い状況をつくるのでしょうか?人は寝ている間にメラトニンや成長ホルモンが分泌されます。寝ないと分泌されないこのホルモンは、人間にとってなくてはならない大切なホルモンです。

特にメラトニンは催眠作用の他、抗酸化作用、抗がん作用、免疫力アップなどの働きをしているので、「人は寝ている間に抗酸化されている」、あるいは「人は睡眠中に体のさびを取り除いている」などと表現されているほどです。

美容でもいえますが、”睡眠不足はお肌の敵”などと聞くことがあります。このように睡眠一つとっても、美容との関連があります。以前のコラムでは、活性酸素対策の7つの習慣について解説しました。睡眠以外には、ストレス対策、飲水、野菜や果物食、禁煙、運動、腹八分です。

まずライフスタイルの改善をしないと加齢に伴う老化現象を防ぐことができません。その次に、食べているもの飲んでいるものが大切です。野菜果物はもちろんのこと、特に夏場は水をよく飲んで補充することが重要です。論文的では豆類、魚食もお肌のシワを減らす効果があるとする報告もあります。

どうやら日本食は、お肌にいいようです。添加物が多い食品やファーストフード、脂分の多い食事や偏った食事は避けるべきです。日本食もいいのですが、時には肉・動物性蛋白も食するべきです。外食より家庭で手作りの新鮮な野菜果物、お魚、お肉を摂取して体内環境づくりをするべきです。

また、糖質は過剰摂取すると体が酸化する一因になります。ソフトドリンクの多用は糖質の過剰摂取になることが知られています。摂りすぎには気を付けて下さい。

加齢とともに美容、美貌を狙うには、今からでも遅くはありません。まずライフスタイルの改善、食生活の見直しをするとともに、改善する意識を持つことです。気持ちの持ちようも大切です。

若くなることも大切ですが、いい歳の取り方をすることを意識して下さい。実践あるのみ・・・きっと数年後の同期会では、「若いね~」、とうれしい一言を聞くことになるでしょう。

ドクタープロフィール

ハートフルクリニック院長 平良 茂 (たいら しげる)

経歴

  • 平成元年琉球大学医学部卒業 医療法人白寿会理事長、ハートフルクリニック院長、 日本抗加齢医学会専門医、点滴療法研究会ボードメンバー、日本臨床自然療法研究会幹事、日本サプリメント評議会評議員、日本臨床自由診療研究会会長など。
  • 積極的に自由診療を治療に取り入れ多くの臨床例を持つ。
  • その独自の手法を全国の医師に共有すべく、日本臨床自由診療研究会を主宰し啓蒙活動を行っている。

<著書>
「病気にならない体づくり」「末期ガン克服への挑戦」「サプリメント図鑑」など。

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