ドクターからの健康アドバイス

掲載11  頚コリ症候群の治療法と対策①

頚コリ症候群の解消法

頚コリ症候群は前のめり姿勢の生活習慣病だということが、今までの説明で理解されたと思います。頚コリ筋群がいわゆるストレートネックを引き起こします。頚部の骨の病気ではありません。治療としては、頚コリ症候群でもムチウチ症でも同じです。慢性疲労症候群も同じです。眼精疲労も同じです。繰り返して起こり、治るめまいや耳鳴りも同じです。こうした全ての症状は、頚部の構造(解剖学)と機能(生理学)にかかわっている原理原則そのものです。すべての症状は一時的な機能障害に過ぎませんから、いずれ元に戻るわけで、心配しすぎないことです。しかし適切な対策を綿密に、そして繰り返して実行しないと、再発を繰り返すことになります。症状には軽いものから自殺企図まで現れますから、必ずしも軽々しいものではありません。
ひどい症状にお悩みであれば東京脳神経センターを一度受診してみてください。そして正確な診断を受けて、個々人の症状の強さに合わせた週3回以上の理学療法、改善が見られたら週1回程度に治療を減らし、姿勢を維持することで終了となります。併設された治療院である「スッキリセンター」では、松井先生の開発した理学療法を受けられます。基本戦力としては有効な組織浸透性を示す特定の低周波数の電磁波と、遠赤外線の頚部照射です。電磁波は、治療に慣れてくるにつれて出力を上げていきます。機能障害の原因は頚部筋肉の微小循環障害であり、それによって起こる局所的な栄養不足、エネルギー不足が原因の侵害神経痛ですから、「神経痛」として保険治療でカバーされます。この毛細血管血流障害は頚部構造全てに多大な影響を与えている機能障害です。しかし、適切に治療すれば元に戻りうるものです。そのためには、「自分の10歳の時の姿勢に戻る」ということにつきます。これは私の体による実体験に基づく事実なのです。つまり私自身の頚コリ症候群を自分の姿勢制御で回復させてしまったのです。これは「コロンブスの卵」です。この経験の後に当センターで患者様の診療と治療にかかわったという経歴なのです。だからこそ自力でも治せる機能障害なのだという確信があるのです。
ここまでの章を読んでいただいた皆様は「なあんだ」「まさか」「ほんとうか」などの様々な感想を抱いたことと思います。振り返ってみると、私自身が自分の症状の改善を試みた際もそのような考えで頭がいっぱいでした。改善にいたるまでには様々な試行錯誤がありました。
4~5年に及ぶ長い苦しみも経験しましたが、冷え症対策として用いられる漢方の「修治附子末」服用がきっかけで、頚コリ症候群は微小循環障害による首の筋肉のこわばりと神経痛であることに気が付きました。そして、自分の病気についての解析から、頭部の重さが人類の姿勢に与える強力な影響を自分自身で確かめてきました。

次回のコラムではいよいよ、前のめり姿勢をいかに防ぐように努めるかについて具体的な方法をお教えします。負担の無い姿勢維持によりストレートネックの解消が狙えます。原則として、背中を丸めた状態で骨盤を上前にダラっとさせてスマホをいじるような座り方を避けましょう。むしろ「座禅座り」のようにおしりを後方に突き出すようにして背筋をまっすぐさせて、顎を引くようにしながら座るよう心がけるのがよいでしょう。

ドクタープロフィール

浜松医科大学(第一病理) 遠藤 雄三 (えんどう ゆうぞう)

経歴

  • 昭和44年(1969年)東京大学医学部卒。
  • 虎の門病院免疫部長、病理、細菌検査部長兼任後退職。
  • カナダ・マクマスター大学健康科学部病理・分子医学部門客員教授となる。
  • 現在、浜松医科大学第一病理非常勤講師、宮崎県都城市医療法人八日会病理顧問、看護学校顧問。
  • 免疫学・病理学・分子医学の立場からがん・炎症の研究を進め、現在に至る。

<主な研究課題>
生活習慣病予防にかかわる食物、サプリメント、生活習慣病と公衆衛生、IgA腎症と粘膜免疫とのかかわり、人体病理学、臨床免疫学、実験病理学

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