ドクターからの健康アドバイス

掲載7  自律神経障害の症状②

自律神経障害とNKCP

連載第5回で東京脳神経センターのアンケート票についてお話ししましたが、少し補足します。アンケート票は主に首コリ、肩コリ、そして頭痛 (頭皮痛) のチェックに関する項目と、自律神経障害に関する項目から構成されています。例外として項目5,6は平衡感覚神経障害(めまい)と聴覚神経障害 (耳鳴り) に関する項目です。これらの各症状は、頚部前側に解剖学的に存在する交感神経系と迷走神経系 (副交感神経) そして内頚静脈という太い静脈系 (頭部から心臓へ還流する血液の95%が通過します) の不調により起こります。そしてその根本原因は首コリ筋群 (30種類以上もあるハエを追っかけるミラクル筋肉群) の微小循環障害です。違う見方をすれば、これらすべては一過性で可逆的な機能障害ですので、頚部を温めて微小循環を改善する温熱カイロや、NKCP[*1]といったサプリメントで対抗することができます。さらに「その上を行く首コリ、自律神経障害、新型うつ、めまい、耳鳴り治療法」を必要とする場合は、低周波電磁波と遠赤外線照射を組み合わせた松井理学療法が適しているでしょう。

全身倦怠感と自律神経障害

痛みが原因で、今まで述べてきたようなさまざまな合併症を引き起こすことがわかってきています。合併症の最重要な症状は頸にある自律神経本幹の障害です。自律神経は交感神経系と副交感神経系から成り立っており、そのバランス異常はさまざまな症状を引き起こし、最終的には全身性疲労感からウツ症状まで引き起こすことになります。
仕事で疲れ果てた若いビジネスマンを診察した時のお話です。彼は私に訴えました。「自分の身の回りは白黒写真みたいだ、疲れ果てて男の役割もダメだ。」私は言いました、「ほぼ毎日松井先生の理学療法を受けましょう」と。1か月後、本人はまさに別人のように元気を取り戻しており、「まわりは総天然色です!」と喜んでおられました。

新型うつ

「新型うつ」という言葉が世の中に現れて久しいですが、今から20年以上前に松井先生が言い出したのが、もしかしたら初めてではないでしょうか。以前は「過剰ストレス」「ノイローゼ」「不安神経症」「森田療法」とか言われていました。私の大学入試の頃に、若人の病気のように言われた病態とほぼ同じです。これらの病態を調べた限りでは、かなり昔から患者はいたようで、数は少なかったけれども重要なうつ病に類似した病態でした。頚部の自律神経障害が原因と考えるならば、前のめり姿勢の仕事は昔も今も変わらず存在していたのでしょう。最近ではスマホ等のデジタル端末が普及したことで、子供から大人まで、国際的に問題が顕在化し、重要な病態として注目を集めているにすぎないのだと考えます。子供に多いといわれる「起立性調節障害」も首コリが原因だということは以前のコラムでもお話しました。いわゆる旧くて新しい首の機能障害の病態です。松井法とNKCP、バイオブラン[*2]といったサプリメントを適度に利用して、先ず治療しながら姿勢の矯正をすることが根本治療です。

 

 

[*1] NKCP:大和薬品株式会社で開発された納豆由来抽出物。
[*2] バイオブラン:大和薬品株式会社で開発された米ぬかからのサプリメントで国際的なロングセラー商品。

ドクタープロフィール

浜松医科大学(第一病理) 遠藤 雄三 (えんどう ゆうぞう)

経歴

  • 昭和44年(1969年)東京大学医学部卒。
  • 虎の門病院免疫部長、病理、細菌検査部長兼任後退職。
  • カナダ・マクマスター大学健康科学部病理・分子医学部門客員教授となる。
  • 現在、浜松医科大学第一病理非常勤講師、宮崎県都城市医療法人八日会病理顧問、看護学校顧問。
  • 免疫学・病理学・分子医学の立場からがん・炎症の研究を進め、現在に至る。

<主な研究課題>
生活習慣病予防にかかわる食物、サプリメント、生活習慣病と公衆衛生、IgA腎症と粘膜免疫とのかかわり、人体病理学、臨床免疫学、実験病理学

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