ドクターからの健康アドバイス

掲載4  消化器疾患

今日は、ニュートラシューティカルズが消化器疾患に対してどのように効果を発揮するのかについて話していきます。

Urangaらは、腸脳相関の乱れにより引き起こされる過敏性腸症候群 (IBS) に対する肥満細胞の影響についてレビューしています[7]。免疫系と神経系の間には密接な相互作用がありますが、肥満細胞と呼ばれる造血幹細胞由来の細胞が、その主要調節因子として機能しています。肥満細胞は別名マスト細胞とも呼ばれ、特にアレルギー反応を起こす時に中心的な役割を果たします。これまでに、多岐にわたる食品成分が、さまざまな作用を介して肥満細胞の活性調節に影響を与えることがわかっています。そのような生物活性化合物として、たとえば脂肪酸、脂質分子、脂溶性ビタミン (D3やE)、アミノ酸 (アルギニン、グルタミン、グリシン)、カロテノイド、ポリフェノール化合物およびスパイスといったものが挙げられます。これらの成分は肥満細胞の脱顆粒 (アレルギー原因物質に反応してヒスタミンなどの炎症性因子を体内に放出する現象) を抑制することができ、そうすることでIBSに特徴的な神経系-免疫系-分泌系間のバランス異常を引き起こす種々の因子が生合成されてしまうのを抑えることができます。

López-Gómezらは、ニュートラシューティカルズが腸管グリア細胞 (EGC) にもたらす効果について解説しています[8]。ある種の化合物、特にL-グルタミン、L-グルタチオン、ケルセチン、レスベラトロール、パルミトイルエタノールアミド (PEA) などの抗酸化物質は、腸管神経系に対して局所的または全身的な神経保護作用を発揮することが報告されています。したがって、EGCに働きかけるニュートラシューティカルズは消化器疾患を予防または軽減できる可能性があります。

 

[References]

  1. Uranga, J.A.; Martínez, V.; Abalo, R. Mast Cell Regulation and Irritable Bowel Syndrome: Effects of Food Components with Potential Nutraceutical Use. Molecules 2020, 25, 4314, doi:10.3390/molecules25184314.
  2. López-Gómez, L.; Szymaszkiewicz, A.; Zielińska, M.; Abalo, R. Nutraceuticals and enteric glial cells. Molecules 2021, 26, 3762, doi:10.3390/molecules26123762.

ドクタープロフィール

チャールズ・スタート大学, School of Biomedical Sciences, Australia Sok Cheon Pak, Ph.D. 氏

経歴

  • 1992年クレムソン大学 (米国) にて博士号 (生理学) 取得。
  • その後イリノイ大学医学部 (米国)、ドンシン大学 (韓国) 准教授、New Zealand College of Oriental Medicine (ニュージーランド) 学部長を経て、
  • 2007年からはチャールズ・スタート大学健康科学部 (補完医療) 准教授/プログラムリーダーを務める。
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