ドクターからの健康アドバイス

掲載12  米ぬかアラビノキシラン―科学的エビデンスに裏付けられた免疫調節物質

多くの方々がすでにご存じのように、免疫系は有害な病原体や分子に対して第一線で身体を防護し、傷害を負った際に炎症反応を誘導します。正常な急性(もしくは短期的)炎症は、組織の外傷や感染症に対する反応として知られており、発熱、赤み、腫れ、疼痛などの特徴的な症状をもたらし、通常は自然に治癒します。さらに最近の研究では、慢性炎症が退行性慢性疾患発症の大きな要因であり、老化を加速させることが明らかにされています。全身の慢性炎症は、米国をはじめ様々な国における主要な死因(心血管系疾患や脳卒中、がん、糖尿病、アルツハイマー病やその他の認知症、呼吸器疾患、腎炎)に関与しています。過剰なカロリー摂取、血糖値上昇、食品に含まれる有害物質や添加物、加工食品、そして長時間座ったままでいることが多い生活は、免疫系に対して不調を知らせるサインを介して、慢性的な炎症を引き起こす原因となってしまいます。

細胞レベルでは、ミトコンドリアが外的(たとえば環境汚染、タバコの煙など)・内的(活性酸素)ストレスに曝されることによって機能不全になり、その結果として老化が加速してしまいます。さらに、ミトコンドリアがエネルギーを生産することによって、副産物としてフリーラジカルが発生しますが、フリーラジカルは酸化ストレスを引き起こします。酸化ストレスは細胞構造を傷つけて炎症遺伝的シグナルのカスケードを開始しますが、これは最終的に細胞死や制御不可能な細胞増殖(つまり癌)をもたらします。それでは、これまでの説明を踏まえると、抗酸化物質や主要な植物化学物質(ファイトケミカル)を豊富に含む食品や健康補助食品を摂取することが、身体がダメージに抵抗して細胞を修復するために役立つことを容易に理解できるでしょう。

繰り返しますが、免疫機能不全とそれに伴う身体へのダメージは、近年流行性疾患レベルで見られる様々な健康問題の根本的な原因となっているのです。したがって、免疫系をサポートして強化することは、再発性感染症、心血管系疾患、がん、アレルギー、慢性疲労、線維筋痛等を予防するために特に重要です。誰もが知っているように、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な休養、そしてストレスをコントロールすることは、健康を維持するために必要不可欠です。残念ながら、現代社会では日用品から食品、空気中や水の汚染物質に至るまで、私達はあまりに多くの有害物質と化学物質に曝らされており、これらによって免疫系に過剰な負荷がかかり、反応不全や調節不全になってしまっているのです。 したがって、免疫系や健康をサポートして本来の状態に戻し、それを維持するためには高品質の栄養補助食品が必要不可欠なのです。

そのような栄養補助食品の1つが米ぬかアラビノキシランで、20年間以上にわたって研究が続けられており、40本を超える査読論文が発表され、強力な免疫調節機能を持つことが証明されています。米ぬかアラビノキシランは米ぬかをシイタケ菌酵素によって加水分解した製品です。しっかりと安全性が確認されており、軽度の膨満感やお通じが良くなるといった場合を除けば、副作用は報告されていません。米ぬかアラビノキシランについてのin vitro試験では、私たちの免疫系の一次防衛線にある貪食細胞による微生物への細胞内傷害性が高まることが明らかになりました。この研究結果は、高齢者や免疫不全患者の感染症治療に米ぬかアラビノキシランを活用できる可能性を示しています。がん患者を対象とした3年間の研究では、米ぬかアラビノキシランによって肝細胞癌治療の介入療法の効果が改善しました。他の研究では、米ぬかアラビノキシランがナチュラルキラー(NK)細胞活性を増強することが明らかになりました。NK細胞活性は、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、致死性の癌などの患者の腫瘍細胞株を発見して破壊するために非常に重要です。また、米ぬかアラビノキシランの有益な効果は、クルクミンのような他の免疫調節や抗炎症の栄養補助食品と併用した場合にさらに増強され、様々な種類の癌の治療方法に対して相乗効果を発揮する補完療法となります。

しかしながら、病気ではなく健康な状態であっても、米ぬかアラビノキシランを毎日摂取するとメリットがあります。 実際に、健康な成人であっても米ぬかアラビノキシランを摂取することによって、免疫調節効果を得ることができるのです。複数の研究と症例報告で明らかになっているように、この栄養補助食品は癌化した細胞やウイルスに感染した細胞に対してナチュラルキラー細胞活性を最適化し、BおよびTリンパ球細胞数を増加させ、サイトカインとインターロイキンを抑制させるために役立ちます。これらは全て、身体に対して抗炎症作用と抗酸化効果があります。私達の研究室では、米ぬかアラビノキシランが健康な成人に対しても完璧な真の免疫調節効果を発揮することを実証しました。この研究では、被験者は米ぬかアラビノキシランを60日間摂取し、試験開始時、48時間後、1週間後、30日後、60日後のナチュラルキラー細胞の細胞傷害性について調べました。ナチュラルキラー細胞機能は、1週間後にピークに達した後に、ほぼ試験開始時のレベルに戻りました。このことは、免疫系による監視が活性化し、被験者の体内で識別可能な危険が見つからなかったため、自己を非活性化したことを意味します。これは、免疫系を長期的に最適化することができない「免疫刺激」とは対照的な、「免疫調節」の特徴を示すものです。

適切な栄養、運動などのような健康のための全体的なアプローチを補う有効な手段として、私は米ぬかアラビノキシランを1日あたり1g摂取していますが、皆さんにも強くお勧めします。病気や感染症がない場合でも、米ぬかアラビノキシランは免疫機能を最適に機能させ、初期の段階で疾患を予防するために役立つでしょう。米ぬかアラビノキシランの摂取量は、体調などの状況に合わせて、もしくは他の栄養補助食品や薬剤と併用する場合はそれを考慮して調節する必要があります。いずれにしても、米ぬかアラビノキシランを飲んで免疫機能を最適な状態に維持すれば、健康に過ごすことができるでしょう!!

ドクタープロフィール

マイアミ大学 Associate Professor John E. Lewis 氏

経歴

  • マイアミ大学医学部精神・行動科学科Associate Professor、同補完統合医療センターDirector of Research、医療ウェルネス学会顧問を務める。
  • テネシー大学ビジネス学科学士(1990年)、テネシー大学運動生理学修士(1992年)、その後、マイアミ大学教育心理学博士号(1995年)を取得。
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