掲載4 ホリスティック医療の重要性
西洋医学では癌は局所の病気と捕らえがちですが、癌は「全身病」と考えるべきです。「癌が全身病」というのは3つの意味があります。
第1の意味は、癌というのは元の場所(原発巣)から離れて(転移)全身に広がりやすいということです。癌が治りにくいのは、原発巣を切除しても他の部位に再発しやすいからです。
第2の意味は、癌は種々の臓器に別々に発生するということです。つまり胃癌が治ってもその後に肺癌や大腸癌など他の臓器に癌が発生する可能性が残っています。むしろ、一つの癌が発生すれば他の癌が発生しやすい状況にあるのです。麻疹のように一度罹って治ると免疫ができて二度と罹らなくなるような病気と違い、癌は一つ見つかると他の場所にもできやすい状況にあると言えます。
これからの高齢化社会においては、一つの癌が治ったあとの第2、第3の癌を予防することが重要になっています。
その理由は、癌が発生する原因には、免疫力や抗酸化力などの体の自己治癒力の低下や、炎症や食事の不摂生や老化やストレスなど体全体の異常が関与しているからです。
癌が発生する時には体の自己治癒力の低下が基盤にあるというのが、癌が全身病という第3番目の意味です。癌が全身病ということが理解できれば、癌予防の根本的な解決法は体の自己治癒力を高めることにあることが納得できます。
癌は多段階的に成長しますが出来上がった癌組織は氷山の一角にすぎません。目に見える癌組織を取り除いても、再発や第2の癌が発生するのは、その基盤として体の免疫力や治癒力の低下、食生活の偏り、ストレスなど、癌の発生や増殖や再発を促進する要因が存在しているからです。これらの要因を取り除かなければ癌を予防することはできません。
また、癌は身体だけの問題ではなく、「心(こころ)」の面でのケアも必要です。ストレスや精神的不安なども体の治癒力を低下させて癌を促進します。確実な治療法の無い状況で「わらをもすがる」思いの癌患者にとっては、希望がないという状況は悲惨です。
たとえ1%の可能性でも、匙を投げられて患者にとっては希望の光りであり、生きる望みになります。たとえ偽薬でも3割の人に効果が出るというプラシーボ(偽薬)効果があるように、期待感を持たせるだけでも治療にはプラスになります。「エビデンスが無いから使用すべきでない」といって、代替医療を切り捨てるのは、正しくありません。薬を使わなくても、言葉だけでも延命効果を引き出せるのも確かです。
癌を攻撃するだけで、体全体の治癒力や体調や自覚症状などに注意を払はないというのは、「木を見て森を見ず」という事になります。体全体の異常や失調、精神面にも配慮したホリスティック(全人的)医療の必要性と重要性は、今後ますます高まるはずです。