掲載5 歯周病予防とプラークコントロール
今回は、歯周病予防とプラークコントロールについてお話していきたいと思います。皆さんは、プラークコントロールという言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。では、実際どういう意味なのでしょうか。
1. プラークコントロールとは
プラークコントロールとは、口腔内ケアにより歯や口腔内のプラーク(細菌)を除去し、再付着を防止して、清潔を保つことです。ケアには自分で行うことができるセルフケアと、歯科医院にて行うプロフェッショナルケアがあります。セルフケアはきちんとブラッシングできている人で、歯面でのプラーク除去率は60%程度にとどまります。しかし、フロスや歯間ブラシ等を併用することで、80%まで除去率が上昇するといわれています。ですが、歯石や深い歯周ポケットがあるとセルフケアでは除去できず、プロフェッショナルケアが必要になってきます。
また、プラークコントロールは機械的プラークコントロールと、化学的プラークコントロールに分けられます。では、具体的な方法をみていきましょう。
2. 機械的プラークコントロール
セルフケア
・ブラッシング(手用、電動)
・フロス
・歯間ブラシ
・口腔洗浄器
プロフェッショナルケア
・スケーリング
・歯面清掃器具
・エアフロー
セルフケアの中で、ブラッシングは基本的なものであり、他の補助器具を使用することで、歯ブラシが当らない歯面に付着しているプラークを除去できます。
3. 化学的プラークコントロール
・歯磨剤
・洗口剤
化学的プラークコントロールに用いられるものの目的は、プラークを除去することより、プラーク形成を抑制することを主としています。
4. 歯磨剤
ではここで、化学的プラークコントロールの一つの歯磨剤について説明します。歯周病予防の歯磨き粉は多数あり、どれを使用していいか迷ってしまいます。また、使用してみないと味や泡立ち、爽快感などわからないですし、好みもあると思います。選ぶ一つの基準としては、歯磨き粉に入っている薬用成分をみることをお勧めします。歯周病予防歯磨き粉の薬用成分には、抗炎症作用、殺菌作用、血行促進作用などがあります。
私が現在使用している歯磨き粉は泡歯磨き粉で、歯周病予防の薬用成分であるアラントインとグリチルリチン酸ジカリウムが入っています。また、研磨剤が入っていないため、電動歯ブラシにもおすすめです。泡歯磨き粉は、泡により口に中に広がり薬用成分も浸透しやすく、低刺激であるため爽快感も少なく、すすぎが簡単というのが特徴です。
5. まとめ
自分自身でできる歯周病予防をいくつか紹介してきましたが、一番はブラッシングです。適切な磨き方をして歯面のプラークを除去する必要があります。しかしブラッシングでは届かない部位が必ずあります。そのために補助器具を使用し、歯ブラシで届かなかった部位を重点的にプラーク除去する必要があります。
厚生労働省による令和4年の歯科疾患実態調査では、デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っている者は全体で50.9%であり、男女別に見ると、ほぼすべての年代で女性の方が歯間部清掃を行なっている者の割合が高い結果となりました。また、40〜70代の女性の5割以上がデンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行なっていたことがわかりました。
図1. デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯間の清掃をしている者の割合、性・年齢階級別
フロスや歯間ブラシの使用率はまだまだ低く100%にならなければならないと思います。
また、口腔内の機械的プラークコントロールができない部位は、併用して化学的プラークコントロールを用い、セルフケアだけではなくプロフェッショナルケアを行い、自分では除去できなかったプラークを除去し、歯周病予防を心がける必要があると思います。
[参考文献]
村上伸也、申基喆、齋藤淳、山田聡、編:臨床歯周病学 第3版、医歯薬出版株式会社、2020