支配的な親を持つティーンは成人後に苦労する?

支配的な親を持つティーンは成人後に苦労する?

支配的な親を持つティーンは成人後に苦労する?

Woman Using Seasonal Affective Disorder (SAD) Lightティーンの子どもを持つ親は、子どもから少し距離を置くことも必要かもしれません。親が支配的だと感じているティーンは、自主性が育ちにくく、大人になったときに恋愛関係を築くのが難しくなる可能性が高いとする研究結果を、米バージニア大学のEmily Loeb氏らが報告しました。同氏は「この研究で因果関係が証明されたわけではないが、過干渉な育て方は、子どもにとって有害無益であることを示す新たなエビデンスとなるものだ」と説明しています。研究論文は「Child Development 6月16日オンライン版に掲載されました。

この研究は、さまざまな社会経済的背景を持つ男女184人を13歳のときから32歳になるまで追跡調査したもので、Loeb氏らは、対象者が13歳のときに質問票を用いて、親による支配の状況や自身の心理社会的成熟度、抑うつ症状などについて回答してもらいました。また、彼らが抱えている何らかの問題について友人にサポートやアドバイスを請う様子を録画して分析し、その後、対象者が27歳と32歳に達した2度のタイミングで、恋人がいる人にはパートナーと同様のやり取りをしてもらい、その様子も録画しました。

成人期における影響

その結果、支配的な親を持つティーンは、自分で考える能力が低く、単独行動が苦手であり、つまりは自主性が育まれにくい特徴があることが示されました。また、動画の分析からは、13歳時に自分の親が支配的だと感じていた人は、相手との間に協力的な関係を築けていないことも分かりました。そのほか、32歳までにパートナーを持つ確率も低く、13歳時に親が支配的と感じていなかった人に比べて学業成績も低いことが明らかになりました。Loeb氏らは、13歳時に親が支配的と感じていた人が成人期にこうした問題を抱えている理由について、明確なことは分からないとしていますが、これらの人が13歳のときに共通して見られた2つの特徴、つまり、友人たちと比べて心理社会的成熟度が低く、仲間にあまり好かれていなかったことと関係する可能性を示唆しています。

支配的な親が大学生に与える影響について、複数の研究を実施した経験のある米フロリダ州立大学教授のMing Cui氏によると、子どもが大学生の年齢になるまで成長してもなお親が支配的であり続けた場合、子どもの抑うつや不安、飲酒、バーンアウトといったリスクが高まる可能性があるということです。同氏は、「親が支配的だと、他者との関係を構築する上で必要となる、セルフコントロールや問題解決スキルなどの“自己調整”力が育ちにくくなる可能性がある」との見方を示しています。

親と子供の距離感

Loeb氏は、子どものためにルールやスケジュールを定めるのは良いことだと話す。問題となるのは、親がルールを守らせるだけでなく、子どもを操ることで自分に従わせようとする場合であると指摘。その上で、「子どもの年齢に合わせてルールを定めることが重要だ。ただし、子どもは自身の考えを持った他者であることを前提に接し、考えていることを口に出し、意見を言えるように導くべきだ」と強調しています。

ティーンの子供と接するコツ

10代前半は子どもにとって情緒的にも身体的にも難しい時期です。ホルモンが変化して思春期に入ると、子どもは自分の体の変化を意識し、人からどう思われているかをしきりに気にするようになることもあります。そんな時期の子どもに対する親としての接し方について、米疾病対策センター(CDC)のレポートからヒントを紹介します。

・薬物、飲酒、喫煙、性などの難しいテーマについて話すときは、子どもに対して正直かつ率直な姿勢でいるようにしましょう。

・子どもの友達と知り合いましょう。

・子どもの学校生活にも関心をもちましょう。

・健全な選択ができるよう子どもを手助けしながら、自分で決めるように促しましょう。

・子どもの意見を尊重しましょう。子どもにとって親はきちんと話を聞いてくれる存在であると認識されていることが大切です。

・意見が対立したときは、目標を明確にした上で、その目標をどのように達成するかは子どもに決めさせましょう。

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