よく笑うほど早期死亡リスク減?

よく笑うほど早期死亡リスク減?

よく笑うほど早期死亡リスク減?

WHR201907日本人の一般集団では、日常生活の中で笑う頻度が高いほど全死亡率や心血管疾患の発症率が低い可能性があることが、山形大学医学部看護学科教授の櫻田香氏らの検討で分かりました。詳細は「Journal of Epidemiology」2019年4月6日オンライン版に掲載されました。

 

これまでの研究で、ポジティブな心理的要因は長寿と関連するのに対し、抑うつや不安、心理的苦痛といったネガティブな要因は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症につながる可能性が示唆されています。櫻田氏らは、心理的要因のうち「笑い」に着目。山形県の一般住民(40歳以上の男女1万7,152人)を対象に、毎日の生活の中で笑う頻度と死亡率および心血管疾患の発症率との関連について前向き研究を実施しました。参加者には、毎日どのくらい笑う機会があるかを尋ね、その頻度で3つの群「週1回以上」「週1回未満~月1回以上」「月1回未満」に分けて比較検討しました。 解析の結果、日ごろほとんど笑わない人では、全死亡率と心血管疾患の発症率が有意に高いことが分かりました。また、週1回以上笑う人と比べて、笑う頻度が月1回未満の人では死亡リスクが約2倍に高まり、週1回以上笑う人と比べて、その頻度が週1回未満~月1回以上の人では心血管疾患の発症リスクは約1.6倍でした。 今回の結果を踏まえ、同氏らは「心血管疾患を減らし、長寿を目指すには、日常生活でもっと笑う機会を持つ工夫が必要かもしれない」と述べています。

笑いは瞑想と同じ効果をもたらす

また、笑いは瞑想と同様の脳波を生み出すことが、米ロマリンダ大学(カリフォルニア州)医療学部准教授で、医学部病理学・人体解剖学研究准教授のLee Berk氏らの研究でわかりました。Berk氏らは、被験者31人に、面白いビデオ、スピリチュアルなビデオ、痛ましいビデオを見せて脳波をモニターしました。その結果、被験者の脳では、面白いビデオを見ているときには、瞑想中に出るガンマ波が多量に認められました。 Berk氏は、「今回の研究では、陽気な笑いを伴うユーモアは高振幅のガンマ帯振動を持続させるということが判明した。ユーモアによって、頭脳が明晰になり統合的思考ができるようになる。瞑想と同様の効果がある」と述べています。この研究結果は、米サンディエゴで開催された実験生物学学会年次学術集会で発表されました。

笑うことは体にいい

そして、心から大笑いすることは、日々のストレスに効く何よりの薬となり、副作用の心配をする必要もありません。笑ってよい場面ではリラックスして遠慮なく笑うほうがよいでしょう。国際ロータリー (世界本部:米イリノイ州エバンストン)は、以下のように助言しています:

  • 心配したり愚痴をこぼしたりする代わりに、家族や友人に面白い話をしてもらうよう頼む。
  • いつも笑っている人や陽気で楽しい人と一緒に過ごす。
  • 笑顔を増やす。意識して笑うように努め、楽しいことを考えて幸せを感じるようにする。
  • 幸せだと思うこと、感謝すべきことのリストを作る。気持ちが沈んだときにはそのリストを見る。
  • 笑いのある方向へ足を向ける。楽しく笑っている友達や同僚のグループを見かけたら、会話に参加して自分にも笑いを分けてもらう。
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