トイレの「足置き台」が便秘解消に有効か

トイレの「足置き台」が便秘解消に有効か

トイレの「足置き台」が便秘解消に有効か

WHR 201902便秘は、不快なだけでなく様々な健康不良を引き起こします。今回は、米国の最新の研究から、便秘症と腎疾患の関係、そして便秘症の改善についてお話します。

 

便秘と健康不良

便秘症のある人のほうが腎疾患を発症する可能性が高いことが、テネシー大学健康科学センター/メンフィス退役軍人医療センター(米国)腎臓病学教授のCsaba Kovesdy氏らの研究で明らかになりました。この研究は、「Journal of the American Society of Nephrology(JASN)」オンライン版に11月10日掲載されました。

この研究では、腎機能が正常な米国退役軍人350万人の医療記録を対象として実施しましたが、便秘症患者はそうでない人に比べて慢性腎臓病を発症する可能性が13%高く、腎不全になる可能性が9%高いことが示されました。また、便秘症が重症の患者ほどリスクが高いことも分かりました。Kovesdy氏は、「今後の研究で便秘症が腎疾患を引き起こすと判明すれば、生活習慣の変更やプロバイオティクスの使用で便秘を治療することにより、患者の腎臓の健康を守ることができる」と述べています。

 便秘の改善

便秘症には、食事、運動、水分摂取など、多くの生活習慣の要因が関連しています。クリーブランド・クリニック(米国)では、便秘を改善するために以下のようなことを心がけるように指摘しています。

・1日コップ2~4杯の水を飲みましょう。

・特に朝には、温かい飲み物も飲みましょう。

・果物(プルーンなど)や野菜をたっぷり食べましょう。

・ふすまのシリアルを食べましょう。

・食物繊維のサプリメントを利用しましょう。

・定期的に運動をしましょう。

・穏やかな軟下剤や下剤を使用しましょう。ただし、必要以上に長期間飲み続けてはいけません(最長2週間)。

3週間以内に症状が改善しない場合は、医師の診察を受けるように勧めています。

「トイレの足置き台」が有効か

オハイオ州立大学(米国)のPeter Stanich氏らが、他に健康のトラブルはない便秘症の成人を対象に実施した研究では、トイレで足置き台を使用したところ、参加者の多くが力まずに排便できるようになったことが明らかになりました。この研究の詳細は「Journal of Clinical Gastroenterology」2018年10月22日オンライン版に掲載されました。

Stanich氏らは今回の研究で、平均年齢29歳の健康な成人52人(女性が40.1%)を対象に、足置き台の排便への影響を調べる研究を実施しました。研究では、参加者にはまず、最初の2週間は足置き台を使用せずに過ごしてもらい、その後2週間は足置き台を使用し続けてもらった。その結果、足置き台を使用すると、参加者の71%は排便時間が短くなり、90%は以前よりも力まずに排便できるようになったと回答したことが分かりました。

Stanich氏は「今回の研究では、足置き台を使用するだけで便秘や腹部膨満感、残便感などが改善することが明らかになった」と述べていました。足置き台が有効な理由としては、「普通に便座に座った姿勢では直腸が曲がって便の通り道が狭くなってしまうが、排便時に台に足を置くと前傾姿勢となり、直腸が直線になって排便しやすくなる」と説明しています。同氏によれば、「しゃがむ姿勢になる」のが理想だということです。

排便困難になると腹部膨満感や便秘、痔などの原因となり、骨盤底の損傷やヘルニアなどの深刻な健康問題にもつながりかねません。Stanich氏は「胃腸の違和感や便秘、下痢などの症状がある人は、必ず医師に相談してほしい。そうすれば、これらの症状を解消できるだけでなく、深刻な状態になるのを避けられる」と助言しています。骨盤底障害の治療を専門とするオハイオ州立ウェックスナー医療センター(米国)のRachel Shepherd氏は「排便は話題にしにくく、便秘であることを話したがる人は少ない。しかし、足置き台を使って姿勢を変えるという簡単な方法なら、誰もが取り入れることができるだろう」と話しています。

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