大豆の健康効果、米国民の8割が認知

大豆の健康効果、米国民の8割が認知

大豆の健康効果、米国民の8割が認知

report_201202 アメリカに「大豆」ブームが到来して10年。大豆に含まれるさまざまな栄養素や有効成分がアメリカ人に認知され、大豆食品はヘルシーフードの代表格として市場を牽引してきた。アメリカにおける大豆食品市場の近況を報告する。

今年8月、United Soybean Boardが発表した統計によると、アメリカの消費者の81%が「大豆は体に良い」と信じており、「健康を害する」と思っている人はわずか5%であることが明らかになった。

また、少なくとも月に1度は大豆関連の食品や飲料を消費者の37%が購入しており、2008年に比べると5%上昇していることも分かった。

アメリカでヘルシーな食品として国民の間にすっかり定着した豆腐や豆乳などの大豆食品。米国食品医薬品局(FDA)が1999年に大豆ベースの食品や飲料に心臓病予防効果の表示を認めたことから、大豆ブームが巻き起こった。

しかし、今年4月のミンテルの調査報告はそうしたブームも一段落したことをうかがわせるものであった。調査によると、アメリカの2010年大豆食品・飲料市場は26億ドル、2008年と比べ16%の減少で、さらに2010年から2012年にかけては17%の減少が予測。売り上げ低下の原因としては、大豆価格の上昇、大豆アレルギー、大豆食品への飽き、新素材の市場参入、などが挙がっていた。

ちなみに、アメリカの一般家庭で最も消費されている大豆食品は、醤油が全体の42%、豆乳が19%、大豆たんぱく質をベースにしたエネルギーバーが15%、枝豆が14%と続く。調査では、大豆ベースのベビーフードやクッキー、スナックバー、大豆チーズや冷凍デザートなどの売り上げが低下していると指摘している。

スポーツ・エネルギー関連の大豆食品は200%増

このミンテルの調査報告では、大豆食品市場の縮小感が否めないが、これに大豆食品業界は「ノー」を突きつけている。同調査では、健康食品を扱うスーパーマーケットのホールフーズ、トレーダージョーズ、ウォルマートの売り上げが含まれていないためだ。

アメリカでは、肉食による健康上の弊害が国民に浸透するにつれ、タンパク質補給で大豆食品を求める傾向が高まっているが、ミンテルの報告書でも大豆を使った肉の代用品などの売り上げは、冷凍部門で2008年から2010年にかけ4.1%、冷蔵部門では16.8%といずれも増加傾向にある。

また、市場調査会社SoyatechとSPINSが今年4に発表した統計では、大豆たんぱく質をベースにしたエネルギーバーの売り上げは2009年から2010年に18%、大豆による肉の代替食品も同期間に約4%といずれも増えている。

さらに、Innova Market Insightsの統計では、大豆プロテイン関連の商品で2010年に上市された新商品は、2007年に比べ170%強増えている。また、スポーツ・エネルギー関連の大豆ベースの商品については、200%も増えている。

70%近いアメリカ人が大豆食品を利用

前述のUnited Soybean Boardの調査では、大豆食品を一度も購入したことがない消費者は33%で、70%近いアメリカ人が大豆食品を利用していることが明らかになった。また、大豆たんぱく質の心臓病予防や骨粗しょう症予防効果などについても消費者の認知度が高いことが調査から分かっている。

大豆の健康効果で最近注目されているのが喘息の症状緩和作用。オハイオ州立大学医療センターの喘息専門医らが中心となり、研究を進めている。大豆を多く摂っている人はそうでない人に比べ肺機能が良好なことから、大豆に含まれる抗炎症物質により喘息症状が緩和されていると研究者らは考えている。

10年前、豆乳や豆腐から始まった大豆食品ブームだが、最近話題になっているのが「おから」。豆腐を製造する過程で大豆から豆乳を絞った後に残る素材で、NaturaIngredients-USAとFoodNavigator-USAが今年11月に行ったバーチャル・カンファレンスでは、たんぱく質、繊維を豊富に含み、カロリーも低いことから新たなダイエット素材の有望株として取り上げている。

アメリカの食品市場での浸透度はまだ低いが、すでにおから入りグラノラバーやクッキー、ソーセージなどが健康食料品店で販売されており、大豆食品市場の新たな牽引役となりそうだ。

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