遺伝子組み換え食品、米国での表示義務の動き

遺伝子組み換え食品、米国での表示義務の動き

遺伝子組み換え食品、米国での表示義務の動き

report_201211 11月の大統領選挙と同時期、カリフォルニア州で「遺伝子組み換え食品を知る権利法」についての住民投票が行われた。全米が注目した、同州における遺伝子組み換え作物・食品(GMO)の表示義務の動向を報告する。

「遺伝子組み換え食品を知る権利法」、賛成47%・反対53%

食料品製造業者協会(GMA)によると、GMOを含む食料品が米国のスーパーマーケットに並ぶようになったのは1994年からで、現在、加工食品の75%がGMOを含むものと推定されている。

先頃、遺伝子組み換え作物・食品(GMO)の表示を義務化するカリフォルニア州法案「遺伝子組み換え食品を知る権利法」の賛否を問う住民投票が行われた。

結果は、賛成47%、反対53%で否決。カリフォルニア州で長らく、食品メーカーや農家を巻き込んだ大論争に一つの終止符が打たれた。

法案通れば「ナチュラル」表記も一切禁止

この全米が注目した、カリフォルニア州の「遺伝子組み換え食品を知る権利法」とは、同州法で食品へのGMO表示を義務付けるというもの。

これが通れば、GMOの農産物には「遺伝子組み換え農作物」、GMOの加工食品には「部分的にGMO技術により製造」の表示義務が課される。また、消費者が好む「ナチュラル」表記は一切禁止となる。

ただし、GMO飼料で飼育された動物由来の肉や牛乳といった商品、GMOと知らずに栽培した農作物または加工食品やアルコール飲料、食品に含まれるGMO素材が重量比で0.5%を超えず、素材数が10を超えていない加工食品、米国農務省(USDA)でオーガニックと認定された食品、レストランなど外食で提供される食品については対象外となる。

ちなみに、「ナチュラル」表記ついては、FDAによる正式な定義は無く、根拠もあいまいだが、消費者受けがよいことから「ナチュラル」と表記された大量の商品が出回っているのが実情だ。

GMO100%フリーは、実証がほぼ不可能

2001年、米国食品・医薬品局(FDA)は、GMO表示について任意のガイドラインを提示し、その中で、「GMO技術を使い生産した素材は使用していません」、「遺伝子組み換えをしています」などの表示を推奨している。

しかしながら、「GMOフリー」、「遺伝子組み換えはしていません」といったGMO100%フリーを意味するような表示は、実証がほぼ不可能であることから勧められないとしている。

現状では、遺伝子組み換えにより、明らかに食品とは異なる成分が含まれる場合、アレルギーなどを引き起こすリスクのある場合、許容範囲を超えた毒性の恐れがある場合に限りGMO表示を義務付けるといった緩い規制にとどまっている。

各州で難航するGMO表示義務の法律化

食の安全への関心が高まる中、オレゴン州でも2002年にGMO表示義務の法律化について賛否が問われているが、反対7、賛成3の比率で否決されている。
その後も18州の議会でGMO表示の義務化をめぐり、議論が交わされたが、いずれも実現には至っていない。実際、食料品を買いに行ってもGMO表示を目にすることはなく、連邦、州、地域のいずれにレベルにおいても表示規制がないのが現状だ。

支持団体「Non-GMO Project」によると、現在、23州がGMO表示の義務化を検討しており、アメリカ人の90%以上がGMO表示を支持、FDAにGMO表示の義務化を求める嘆願書には約130万人が署名しているという。

先述のカリフォルニア州の「遺伝子組み換え食品を知る権利法」については、住民投票で有権者の約420万人が支持を表明している。
GMOを使用していない商品の2012年の市場は、前年のほぼ倍にあたる29億ドルにまで拡大している。

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