シュガーレスガムの効果

シュガーレスガムの効果

シュガーレスガムの効果

4.1.1「噛むこと」の健康に対する様々な効果は、近年注目を集めています。今回は、シュガーレスガムをかむことの「健康」と「脳」に対する効果について、日本と海外のレポートからご報告します。

 

ガムを噛みながら歩くと、噛まなかった場合と比べて心拍数が増え、エネルギー消費量が増加する可能性があることが、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授の宮下政司氏と濱田有香氏らの研究グループを中心とする研究で分かりました。詳細は「Journal of Physical Therapy Science」2018年4月号に掲載されました。

ウォーキングは手軽に行える運動の一つとされ、広く一般に親しまれていますが、宮下氏らの共同研究グループは、健康な男女を対象に歩行中のガムの咀嚼が身体機能や生理機能に与える影響について検討しました。

研究では、21~69歳の健康な男女46人を対象に、安静に1時間過ごしてもらった後にガムを噛みながら自分のペースでウォーキングを15分間行ってもらい、心拍数と歩行距離、ケイデンス(ピッチ=歩数/時間)を計測し、歩行速度、歩数、歩幅、エネルギー消費量を算出しました。その結果、ウォーキング中の心拍数は、ガムを噛みながら歩行すると、噛まなかった場合と比べて有意に増加することが分かりました。研究を率いた宮下氏によると、ガムを噛むと心拍数が増大し、心拍リズムと運動リズムが同期する現象が生じて歩行距離や歩行速度、歩数といった身体機能が増大した可能性が考えられるということです。

また、シュガーレスガムを噛むことは虫歯予防にも有効です。米国歯科医師会は、歯の手入れの新しい習慣としてシュガーレスガムを推奨しています。その際、以下のポイントを踏まえることが大切であると指摘しています。

1.   唾液の分泌を促して細菌を洗い流すために、シュガーレスガムを選びましょう。

2.   唾液が増加すると歯がカルシウムやリン酸塩に触れる比率が高まります。これらの成分は歯のエナメル質を強化する効果があります。

3.   食後に約20分間ガムを噛みましょう。

4.   ただし、ガムを噛むことは歯磨きやデンタルフロスの代わりにはならないので注意しましょう。

それに加え、ガムを噛むとは健康に効果があるだけではなく、集中力が高まる可能性もあることが、英カーディフ大学のKate Morgan氏らの小規模研究で示唆されています。研究論文は、「British Journal of Psychology」2013年3月8日号に掲載されました。

今回の研究では、ガムを噛むことが聴力に関係する記憶タスクに及ぼす影響を検討しました。30人を2群に分け、それぞれに1から9の数字を並べたものを順不同に読み上げ、それを聞き取る30分間のタスクを課しました。その結果、ガムを噛んだ被験者のほうが噛まなかった被験者に比べて反応時間が速く、正解も多く、特にタスク終了に近づくとこの傾向が強くなりました。Morgan氏は、「興味深いことに、タスク開始時にはガムを噛まない被験者のほうが良い成績を示したが、終了時までに追い抜かれた。これは、ガムを噛むことが、長時間のタスクで集中するのに役立つことを示唆している」と述べています。

「噛む」ことは身体や脳に様々な効果をもたらすようです。手軽な手段として、シュガーレスガムを活用してみても良いかもしれません。

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