脂肪・塩分・糖分を控える米国民 ~2012年版米国民の食と健康意識調査(3)

脂肪・塩分・糖分を控える米国民 ~2012年版米国民の食と健康意識調査(3)

脂肪・塩分・糖分を控える米国民 ~2012年版米国民の食と健康意識調査(3)

report_201208 生活習慣病の予防や健康維持のため、食材選びに慎重になっている米国民が増えている。脂肪を極力避け、塩分や糖分は控え目に。もはやそれが常識になりつつある。International Food Information Council Foundation(IFICF)の「2012年版米国民の食と健康意識調査」から、米国の消費者の食材選びについて報告する。

米国民の75%が低脂肪食品を購入

食品を選ぶ際の決めてはやはり味だが、次に米国民が重視しているのが食品に含まれている脂肪の量–。
IFICFの2012年版調査によると、米国民の75%が脂肪の含有量の低い食品を選んで購入しているという。ダイエットや健康維持、加えて心臓病の予防が主な理由だ。

また、普段の食事でも67%が出来る限り脂肪を摂らないよう心がけていることも分かった。
「2010年版アメリカ人の栄養ガイドライン」では、動物性の脂肪やバター、ラードなどに含まれる飽和脂肪酸を摂取カロリーの10%以下に抑え、代わりに植物や魚に多く含まれる一価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸を摂るようアドバイスしている。

飽和脂肪酸の摂り過ぎはコレステロールを増やすが、不飽和脂肪酸はコレステロールを低下、高血圧や心臓疾患などの症状を改善・予防する働きがある。

このように脂肪のタイプによって健康への影響が異なるが、「脂肪はみな体の敵」と考えている米国民はけっこう多い。
IFICFの調べでは、49%が悪玉コレステロールを増やし心臓疾患のリスクを高めるトランス脂肪酸をとくに避けるよう心がけているが、体に良いとされる不飽和脂肪酸まで32%が勘違いして敬遠していることが明らかになっている。

米国民の10人に6人が食品の塩分含有量をチェック

また、脂肪と同じく敬遠されているのが塩分。「2010年版アメリカ人の栄養ガイドライン」は1日の塩分摂取量を2300mg以下に、51歳以上または高血圧・糖尿病・慢性腎臓疾患の患者は1500mgまでに抑えるようアドバイスしている。ちなみに、子どもを含め米国民の約半数がこの1500mg制限の対象となっている。

ところが、2歳以上の米国民の1日の塩分摂取量は平均約3400mgと奨励摂取量を大幅に上回っているのが現実だ。米国では大人の3人に1人、約6800万人が高血圧を患い、医療費は年間935億ドルと推定されている。

しかし、医療費の削減を目指し国をあげての「塩分控え目奨励」が功を奏してか、IFICFの調べでは、米国民の10人に6人が食品パッケージの塩分含有量表示をチェックし、含有量によって購入数を制限するか、または買わないようにしているという。

高血圧の対策は、薬が79%でトップ、次が減量で68%、塩分控え目が65%。薬なしで正常値の人の場合は、塩分控え目、減量、運動が血圧対策の3本柱になっている。

米国民の51%が糖分の添加が少ないか無添加のものを選ぶ

糖分はフルーツなど食材そのものに自然に含まれているものと、保存目的や甘味を加えるために食品に添加したものがある。米国民の食生活では総カロリー摂取量の平均16%を添加糖分が占めている。

「2010年版アメリカ人の栄養ガイドライン」によると、米国民が摂取する添加糖分では、36%がソーダやエネルギードリンク、13%が穀物ベースのデザート、10%が甘みを加えたフルーツドリンク、6%が乳製品ベースのデザート、同じく6%がキャンディーとなっている。

IFICFの調べでは、米国民の51%が加工食品と飲み物を選ぶ際に糖分の添加が少ないか、または全く添加されていないものを選んでいる。また、44%が異性化糖(HFCS)の摂取量を控えるか、完全に避けている。

異性化糖とは、トウモロコシやジャガイモなどのデンプンを酵素で糖化させた後、含まれるブドウ糖の一部を別の酵素で果糖に異性化させたもの。ジュースやコーヒー飲料などに広く使われているが、血糖値を急激に上げて糖尿病のリスクを高めるなど、肥満の原因として問題視されている。

糖分を控える理由としては、62%が体重管理、54%が病気の予防となっている。また、47%が食品選びの際、使われている甘味料の種類を重視しており、46%が低カロリー甘味料が含まれているかどうかチェックし、うち30%が低カロリー甘味料を使った食品を好んで買っている。

米国プロテイン市場、世界市場の5分の1強を占める

一方、運動の効果を最大限に高める、カロリー燃焼に必要な筋肉量を増やす、体重維持などの目的で、米国では今、プロテインパウダーが大ブームになっている。

IFICFの調べでは、米国民の10人に6人が加工食品や飲み物を選ぶうえで重視していることのひとつがプロテインの含有で、大半がさらに摂取量を増やそうと考えているという。プロテインを選ぶ理由として、88%が筋肉増強、80%が栄養バランス、60%が満腹感を高めるためと答えている。

また、84%が普段の食生活への利用が容易としているが、そうしたことも愛用者を増やしている大きな要因といえそうだ。

マーケティング会社Global Industry Analysts Inc.(GAI)では、世界のプロテイン市場は2015年までに245億ドルに達するものと予想している。米国は世界のプロテイン市場の5分の1強を占めており、今後も年間8%から9%増のペースで市場の拡大が見込まれている。

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