食の安全、購買の重要な決め手に~2012年版米国民の意識調査(2)

食の安全、購買の重要な決め手に~2012年版米国民の意識調査(2)

食の安全、購買の重要な決め手に~2012年版米国民の意識調査(2)

report_201207 ここ数年、スーパーマーケットでは、パッケージの成分表示を熱心に見ている人々が目立つ。消費期限は?米国産か?家畜に抗生物質が使われていないか?おいしさはもちろんだが、食の安全はより重要だ。2012年版米国民の食と健康意識調査から、米国の消費者が食の安全をどう考えているのか報告する。

毎年6人に1人が食中毒に

今年、食品医薬品局(FDA)は昨年1月に成立した食の安全近代化法に基づき、3900万ドルを投じ約2000人の検査官を増員、食品製造所の検査回数を増やすなど、食品の安全管理の強化に乗り出した。

疫病対策センター(CDC)によると、米国で毎年6人に1人が食中毒を起こし、うち約12万8000人が入院、約3000人が死亡しているという。

食中毒による費用は、医療費などを含めると毎年約780万ドルにのぼるといわれている。

サルモネラ菌、死亡者数でトップ

病原菌感染のトップ5は、1位がノロウイルスで全感染者の58%、2位がサルモネラ菌で11%、3位がウェルシュ菌で10%、4位がカンピロバクター菌で9%、5位がブドウ球菌で3%。

最も入院者数が多いのは、1位がサルモネラ菌で全入院患者の35%、2位がノロウイルスで26%、3位がカンピロバクター菌で15%、4位がトキソプラズマ原虫で8%、5位が病原性大腸菌O-157で4%。

さらに、死亡者数でみると、1位がサルモネラ菌で全死者数の28%、2位がトキソプラズマ原虫で24%、3位がリステリア菌で19%、4位がノロウイルスで11%、5位がカンピロバクター菌で6%となっている。

米国民の半数が輸入品は安全面で劣ると感じている

International Food Information Council Foundation (IFICF) の「2012年版米国民の食と健康意識調査」によると、米国民の85%が食の安全について多少なりとも気にしており、78%は米国内で販売されている食品および飲み物は安全だと信じているという。

また、自身が食中毒を起こす確率は極めて低いと思っている人は57%で、食の安全を考慮して特定のブランドや限られた食品しか買わないという人はわずか17%と低かった。

とはいえ、51%が細菌または化学物質の食品混入、47%が農薬使用、30%が家畜への抗生物質使用、25%が表示されていないアレルゲン含有にいずれも不安を抱いていることも分かった。こうした不安が買い物をするうえで商品選びに影響を与えているという。

また、米国民の48%が輸入品は米国産に比べ安全面で劣ると感じているという。その理由として、米国に比べ他国の規制は甘い、他国で製造された食品は衛生面で不安、海外から輸送される間に汚染される可能性があるなどが挙がっている。

食品表示で最も気にするのは消費期限と栄養成分

カリフォルニア州では今年11月の住民投票で、加工食品への遺伝子組み換え生物(GMO)使用表示を義務付ける法案が採決されることになった。可決されれば、2014年までに施行され、加工食品へのGMO表示を義務付けた全米で初の州となる。食の安全を気にする消費者にとっては朗報だ。

昨今、食品の表示を手掛かりに買い物をしている人は多い。IFICFの調べでは、買い物客が最も確かめている表示は、消費期限(76%)と栄養成分(66%)。中でも消費期限は、昨年の調査では63%から13ポイントも増加している。

また、消費者の半数は、成分表示、サービングサイズ、パッケージに含まれる量、カロリー、栄養情報をチェックしているという。表示をみて商品を選ぶ決め手としては、カロリーが71%、全穀物が67%、食物繊維が62%、糖分が60%、塩分が60%、脂肪分が60%となっている。とはいえ、54%はあまり心配せずに、食生活をエンジョイしたいと考えていることも分かった。

商品選びのポイントはやはり「おいしさ」

ところで、食の安全は当然だが、米国の消費者の商品選びのポイントはなにか—。
IFICF調査の結果、決め手のトップは「おいしさ」で87%。次いで「価格」73%、「体にいい」61%、「便利さ」53%、「社会的・環境的に将来にわたって持続の可能性がある」35%と続いた。

年齢別では、50歳未満は価格が商品を選ぶうえで重要なポイントになっているが、50歳以上では「体にいい」「おいしい」「持続可能性」を重視していることも分かった。

「持続可能性」については、米国人の3分の2が商品を選ぶうえで食品や飲み物の持続可能性を多少なりとも気にしており、41%が「地元産」と表示された商品を好んで買い、39%がファーマーズマーケットで買い物し、38%がリサイクルできる容器に入った商品を好んで買っているという。

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