高額医療費に高まる健康意識~2012年版米国民の意識調査(1)

高額医療費に高まる健康意識~2012年版米国民の意識調査(1)

高額医療費に高まる健康意識~2012年版米国民の意識調査(1)

report_201206 先頃、アメリカ人が食と健康についてどう考え実践しているかをまとめた調査報告が発表された。International Food Information Council Foundation(IFICF)による「2012年版米国民の食と健康意識調査」で、アメリカ人が自身の健康状態をどう思っているか?摂取カロリーについて正しい知識をもっているのか?などがまとめられている。同調査から「アメリカ人の健康意識」「食の安全に対する考え方」「特定の食材に対する考え方」について3回に分けて報告する。

健康を追い求めるアメリカ人

健康のために何を食べたらいいか判断するのは、所得税を申告するよりも難しい。アメリカ人の大半がそう考えているようだ。

ついこの間までヘルシーといわれていた食材が、ある日突然、体に悪いと報じられる。食や運動に関する情報が溢れかえり、一体どれを信じていいのか戸惑うことも少なくない。

とはいえ、「だからやめた」とギブアップはしない。むしろ、「食生活と運動で健康になろう」、「体や環境にいいオーガニックを好んで買おう」と食や健康への意識を高めるアメリカ人が増えている—。

過去7年間、食と健康に関するアメリカ人の意識を調査しているIFICFは今回の調査結果からそう結論づけている。

医療費破産と隣合わせ

IFICFの調査報告によると、健康状態がすぐれないというアメリカ人はわずか9%で、60%が自身の健康状態を良好だと思っているという。

ただ、アメリカ人のほとんどが「健康ではあるが、まだまだ食生活に改善の余地がある」と思っているようだ。自身の食生活がとても健康的だと思う人はわずか25%で、約21%が不健康と感じている。そして、87%がもっと果物や野菜を食べるよう心がけているという。

ちなみに、米国公衆衛生専門誌『Annual Review Of Public Health』12.4月号では先進国35カ国の2012年平均寿命を報じている。トップは日本で83歳、2位がスイスで82歳。3位はオーストラリア、イタリア、アイスランド、イスラエル、フランス、スウェーデン、スペイン、シンガポール、ノルウェイ、カナダでいずれも81歳。アメリカはというと、デンマーク、カタールとともに78歳で最下位だった。

アメリカは平均寿命で最下位とはいえ、医療費では35カ国中ダントツのトップである。今年3月、チェイニー元副大統領が通常の心臓移植対象の年齢をはるかに超える71歳の高齢で移植手術を受けたと話題になった。また、R&Bシンガーのビヨンセも出産に130万ドルを使うなど、国民の1%といわれる裕福層はお金で健康を買えるが、99%は大病になって、たとえそれを克服したとしても医療費破産のストレスで寿命は短くなるばかりだ。

アメリカの肥満人口、総人口の約4割

つい最近、オンライン版American Journal of Prevention Medicineに掲載された研究報告によると、アメリカの肥満人口は、総人口の36%(2010年現在)で、2030年までに42%に達すると予想されるという。理想体重を100ポンド以上超える超肥満も、6%(2010年現在)から11%に達する模様だ。ちなみに肥満による医療費は年間1470億ドルといわれている。

IFICFの調査結果によると、アメリカ人の55%が減量を試みているという。2011年の前回調査では43%とわずかに減少したものの、2010年は54%、2009年は53%、2008年は57%、2007年は56%と減量にチャレンジしている人はほぼ横ばい状態。理想体重の維持を心がけている人は22%だった。

ダイエットの基礎知識を把握している人はごくわずか

アメリカ人の多くが理想体重を目指して頑張ってはいるものの、理想のカロリー摂取量というダイエットの基礎知識を把握している人はごくわずかであることもIFICFの調査で明らかになっている。食品医薬品局(FDA)のガイドラインで、成人女性の理想摂取カロリーは1日約2000カロリー、成人男性は1日2500カロリーとなっている。それに基づき自身に必要な1日の摂取カロリーをきちんと把握している人はわずか15%だった。

さすがに、週に5日、1日30分という運動ガイドラインは浸透しているようだが、実行となるとまた別の話。IFICFの調査結果によると、「健康な食生活」と「1日30分、週5日運動」の実行の難しさを比べた場合、「健康な食生活」の方が難しいと思う人は52%で、「週5日運動」は48%だった。アメリカ人の34%がまったく運動しておらず、77%が運動ガイドラインを実行していないことも分かった。

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