躍進するプロバイオティクスと抗酸化市場

躍進するプロバイオティクスと抗酸化市場

躍進するプロバイオティクスと抗酸化市場

report_201204 健康関連売り場にずらりと並ぶプロバイオティクスと抗酸化商品。「Probiotics」と「Antioxidant」はすっかり健康用語として定着したようだ。食品に飲料にサプリメント、さらにパーソナルケア商品と関連商品も多岐にわたる。今最も躍進が期待される2つの素材の市況を報告する。

米国民のおよそ3割がプロバイオティクス商品を利用

プロバイオティクスとは乳酸菌やビフィズス菌といった人体に好影響を与える生きた微生物で、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整えることがよく知られている。
これまでに、コレステロール値低下や免疫力の向上、腫瘍抑制などが報告されている。

日本ではヨーグルトや乳酸菌飲料などが普及しているが、米国でもここ数年、プロバイオティクス商品への関心が高まっており、今後最も成長が期待できる市場とみられている。

ConsumerLab.comが昨年11月に実施した調査では、米国女性の約34%、男性の約28%がプロバイオティクス商品を利用していることが分かっている。 Nutrition Business Journalによると、米国における2010年のプロバイオティクス・サプリメントの売上げは前年比19%増の6億3600万ドルに達しているという。

米国で今後5年間にプロバイオティクス商品の消費は2倍に

今年2月、NutraIngredients主催によるプロバイオティクスをテーマにしたバーチャルカンファレンスが開催された。この中で、国際的な市場調査会社大手のEuromonitor Internationalが、米国で今後5年間に1人当たりのプロバイオティクス・サプリメントの消費が2倍に膨れ上がり、売上げで日本を追い抜くと予測している。

また、全世界におけるプロバイオティクス・フードおよびサプリメントの売上げについても、2011年の280億ドルから5年後の2016年には420億ドルに達するものと推定している。

商品別の売上げでは、「飲むヨーグルト」が140億ドル、「食べるヨーグルト」が113億ドル、サプリメント関連が27億ドル、ジュース類が1億3500万ドルとなっている。 5年後の2016年には、「飲むヨーグルト」が50%増の210億ドル、「食べるヨーグルト」が50%増の170億ドル、サプリメント関連が48%増の40億ドルに売上げを伸ばすものとみている。

免疫力の向上など相次ぐ研究成果

こうした市場の拡大とともにプロバイオティクスの研究も盛んだ。
British Journal of Nutrition誌11.12月号では、プロバイオティクスは免疫システムの向上に有用であると報じている。University ‘G.d’Anunzio’、Nippon Medical Schoolなどの研究者グループが平均年齢50歳で喫煙習慣のあるイタリア人男性72人に、プロバイオティクスかプラセボを3週間与えた。

その結果、プロバイオティクス投与群では、NK細胞の活性が17~26%増加した。一方、プラセボ群は8.4~10.5%の増加だったという。また、プロバイオティクス投与群では、胃痛や悪心症状が減少したという。

米国代替医療センター(National Center for Complementary and Alternative Medicine )でも、現在プロバイオティクスについて次のような研究を進めている。(1)子どもの下痢の予防と治療効果、(2)ストレスによる下痢や便秘などの症状を引き起こす過敏性腸症候群に対する効果、(3)抗生物質が効かない細菌感染症の治療効果、(4)ある種の腫瘍の成長を抑制する効果、など。

「食品に含まれて欲しい素材」の上位5位に抗酸化物質

「抗酸化商品で健康、そして美しく」。そんな発想が消費者の間にすっかり定着している。Food Marketing Instituteの2011年健康関連購入調査では、米国の消費者が「食品に含まれて欲しい素材」と挙げる上位5位に抗酸化物質が入っている。

今年3月、市場調査会社Packaged Factsが発表した統計によると、米国で抗酸化商品の新商品は2011年には前年を10%上回り、売上げも前年比8.6%増の648億ドルに達したという。

抗酸化商品、毎年平均6%増の売上げが予想

抗酸化商品はサプリメントから化粧品まで幅広い。商品別の売上げで最も伸びたものは、飲料で前年比12.9%増の122億ドル、次いでパーソナルケア・化粧品で前年比12.7%増の39億2000万ドル、食品が前年比7.3%増の481億ドル、サプリメントが前年比6.5%増の6億1000万ドルと続いている。

今後、抗酸化商品の売り上げは、毎年平均6%増加し、5年後の2016年には860億に達するものと予想されている。素材では、「果物の女王」と呼ばれるマンゴスチン、ゆず、シーバックソーンといったフルーツが人気を呼んでいる。また、全粒穀物の抗酸化作用も注目されている。

抗酸化商品もオーガニックが人気

最近の傾向としては、抗酸化物質をフルーツや野菜などできるだけ加工していない食品で摂りたいという消費者が増えている。抗酸化商品もオーガニックが好まれている。

また、抗酸化物質を素材とした商品で、関節関連商品や歯周病を予防するデンタルケア商品などが新アイテムとして登場。特有な症状に対する効果が科学的に立証された商品の需要がこれまで以上に高まっている。

米国代替医療センター(NCCAM)でもさまざまな抗酸化物質について次のような研究を行っている。(1)ギンコ、アルファ・リポ酸と必須脂肪酸のコンビネーション、ビタミンEとセレンのコンビネーションの多発性硬化症の治療効果、(2)アルファ・リポ酸の糖尿病神経障害の治療効果、(3)アルファ・リポ酸の血管反応向上と高コレステロール患者の酸化ストレス減少効果、(4)アレルギー性喘息患者におけるビタミンEとCの気道の抗酸化抑制効果、(5)フィッシュオイルのアルツハイマー病症状緩和効果、など。

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