眠くなると、眠気覚ましについコーヒーや紅茶などのカフェインが入った飲料を飲む方も多いかと思います。しかし、何日か睡眠不足が続いた後では、カフェインを摂取しても覚醒や精神能力を改善する効果が得られなくなることが、米ウォルター・リード陸軍研究所(メリーランド州シルバースプリング)のTracy Jill Doty氏らの研究でわかりました。
研究では、健康なボランティア48人を対象に、5日間、睡眠を一晩5時間に制限しました。被験者は1日2回、カフェイン200mgまたは作用しないプラセボのいずれかを摂取し、さらに起きている間は1時間ごとに知的技能テストを実施しました。その結果、最初の2日間はカフェイン摂取群がプラセボ群よりも試験成績が良かったものの、残りの3日間では差が認められなくなりました。Doty氏は、「カフェインは睡眠が足りないときの能力低下に抗うために広く使用されているため、この結果は重大だといえます。今回のデータは、同じように有効1日用量のカフェインを摂取しても、複数日の睡眠制限による能力低下を予防するのには不十分であることを示唆しています。米国疾病管理予防センター(CDC)は、成人は一晩に7~8時間眠るべきだと指摘しています。
また、別の研究で、コーヒーを飲むよりも軽く階段を上るほうが、やる気を出すのには役立つという研究結果が明らかにされています。この研究は、米ジョージア大学運動学部教授のPatrick O’Connor氏らにより報告されました。今回の研究の被験者は、慢性的に睡眠不足(一晩の睡眠時間が6.5時間未満)で、カフェイン摂取量と身体活動量はともに適度であると報告した女子大学生18人。被験者には別々の日に、カフェイン50mg(炭酸飲料で約1缶分)のカプセルを摂取するか、プラセボを摂取する、あるいは階段の上り下りをゆっくりと10分間(全体で約30階分)実施した後、気分について回答し、作業記憶、集中力などに関する検査を受けました。その結果、カフェインまたはプラセボを摂取したときは、被験者の気分にさほど大きな変化はみられませんでしたが、階段を上り下りした後には、力強く元気が出ると感じたことが分かりました。
仕事の合間に眠気を感じたら、まず、日頃睡眠不足でないかを振り返ってみましょう。また、眠気の解消にはコーヒーを飲むだけでなく、階段の上り下りも選択肢の一つに加えてみると健康管理にも役立つかもしれませんね。