眼科の定期検診が見逃されている眼疾患の発見に有用

眼科の定期検診が見逃されている眼疾患の発見に有用

眼科の定期検診が見逃されている眼疾患の発見に有用

WHR 201703糖尿病は、重篤な眼疾患や失明などの合併症リスクが高いにもかかわらず、糖尿病患者の約3分の2は、年1回の眼科検診を受けていないことが、新たな研究で示されました。米国では、成人の10人に1人が糖尿病患者だとされます。研究著者によると、糖尿病による失明は、眼科検診を年1回以上受診することで95%以上が防げると言われています。「失明は予防できることを糖尿病患者は自覚すべきです。眼科検診の重要性について、もっと理解を深める必要があります」と、研究を主導した米ウィルズ・アイ病院(ペンシルベニア州フィラデルフィア)のAnn Murchison氏は述べています。

また、高齢者の場合は、糖尿病ではなくても、定期的に眼科検診を受診することによって、気付かれていない問題が発覚することが多いことが明らかになりました。この研究はウォータールー大学(カナダ、オンタリオ)のElizabeth Irving氏らによるもので、「Optometry and Vision Science」7月号に掲載されました。

研究では、1年間に大学の眼科クリニックを受診した患者6,400人近くのデータを調べたところ、新たな症状や視覚障害はないと申告した人のうち、50%以上超が眼科検診を受けた際に新たな治療の開始または治療の変更が必要と診断されました。そのうち、4割の人は眼鏡などの処方箋の変更を必要とし、16%は新たな眼疾患の診断を受け、31%がこれまで継続していた治療を変更しました。著明な変更のほとんどは高齢者にみられ、小児では8%のみであったのに対し、65歳以上では78%に及びました。Irving氏らは、「50%以上の人で変更が認められたことを考えれば、眼科の定期検診は症状のない患者にとって有益である」と述べています。

米国眼科学会(AAO)は、自覚症状がなくても40歳から全般的な眼科検診を開始すべきだとして、40~54歳では2~4年ごと、55~64歳では1~3年ごと、65歳以上は1~2年ごとの受診を推奨しています。眼の疾患が進行してしまうと日常生活が不便になり、QOL(生活の質)が大幅に低下する恐れがあります。自覚症状がない場合でも、定期的に眼科検診を受診して問題があれば早期に適切な治療を受け、眼の健康を維持するように心掛けましょう。

 

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