食事のタイミングにより健康リスクが変わる?

食事のタイミングにより健康リスクが変わる?

食事のタイミングにより健康リスクが変わる?

4.1.1心臓の健康のためには、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも重要であることが、米国心臓協会(AHA)の新たな科学的声明により報告されました。声明の筆頭著者で米コロンビア大学(ニューヨーク)准教授のMarie-Pierre St-Onge氏によると、身体のさまざまな器官はそれぞれ独自の「時計」をもっているということです。たとえば1日の早い時間帯に比べて、夕方の遅い時間には身体がブドウ糖を処理しにくくなると、同氏は説明しています。短時間に大量に食べたり、朝から夜まで食べ続けたりするよりは、1日の「一定の」時間内でカロリーを分散させて摂取することを勧めており、エビデンスに基づけば、早い時間帯にカロリーを多く摂るほうがよいとAHAは述べています。声明では、「朝食が最も重要な食事である」とは明言していませんが、朝食をきちんと食べる人は、朝食を抜く人に比べて体重、血圧、コレステロール値が良好であり、2型糖尿病や心疾患のリスクが低いことが示されています。米国栄養・食事療法学会(AND)のSonya Angelone氏は、毎日朝食を摂ることは極めて重要であるとの考えを示し、1日2食では間食を入れても必要な栄養素を十分に摂取できないと指摘しています。また、それだけではなく、朝には夜間に失われた水分を補給することも大切だと述べています。

また、朝食を抜いた日は、血糖管理が不良になりやすいということも研究結果で指摘されています(「Diabetes Care」2015年7月28日電子版)。イスラエル・テルアビブ大学のJakubowicz氏らは、過体重の2型糖尿病患者22人(罹病期間8.4年、57歳、BMI 28.2、HbA1c 7.7%;平均値)を、1日目に3食摂取、2日目は朝食を抜く2日間の試験に無作為に割り付け、血糖値などの指標を観察しました。その結果、3食摂取の場合に比べて、朝食を抜くと血糖値が昼食後に37%、夕食後も27%高く、一方、昼食・夕食後の血中インスリン、iGLP-1濃度が低く、朝食を抜くと血中インスリン値のピーク到達が30分遅れていたということが明らかになりました。

ただ、4食以上に分けるのが良いかどうかは明らかにされていません。食事の回数が多いほうが肥満リスクが低いとの研究結果もありますが、1日のカロリーが一定なら体重やコレステロールに影響はないという知見もあります。逆に、St-Onge氏は、食べる量をコントロールできない人には、何回にも分ける食事の摂り方は適さないと指摘しており、インスリン抵抗性のある人も、頻繁に食事を摂るのはよくないとAngelone氏は話しています。食事の内容だけでなく、時間も考慮することは心臓の健康、血糖の管理など様々な面で有効です。バランスのとれた内容の食事を適切な時間にとり、健康管理に役立てましょう。

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