歯のクリーニングで健康管理

歯のクリーニングで健康管理

歯のクリーニングで健康管理

2016%e5%b9%b412%e6%9c%88%e5%8f%b7定期的な歯科検診は明るい笑顔を保ち、毎日の生活を快適にするだけでなく、様々な健康の維持にも役立ちます。今回は、口腔衛生の改善による健康管理についてご紹介します。

 

米バージニア・コモンウェルス大学感染症部門内科助教授のMichelle Doll氏らの新たな研究で、定期的な歯のクリーニングにより肺感染症を引き起こす細菌量が減少し、肺炎リスクが低下する可能性があることが示唆されました。

米国では毎年100万人近くが肺炎を発症し、5万人が肺炎で死亡しています。誰でも肺炎にかかる可能性はありますが、高齢者、他の肺疾患がある患者、AIDSなどの疾患をもつ患者ではさらに多くみられます。この研究では、2万6,000人超の記録をレビューしたところ、歯科医を全く受診していない人は、年2回の歯科検診を受けている人に比べて細菌性肺炎になる可能性が86%高いという結果が出ました。Doll氏は、「口腔衛生と肺炎との関係は十分に裏づけられており、歯科受診は良好な口腔衛生を維持するために重要です。口腔内の細菌をゼロにすることは不可能ですが、きちんとケアすれば細菌の量を制限することができます。われわれの研究は、口腔衛生が全身の健康に関係することを示すさらなるエビデンスであり、歯科のケアをルーチンの予防医療に組み込むことの重要性を示唆しています」と述べています。

また、別の研究では、歯周病による歯の動揺(ぐらつき)があると2型糖尿病を発症するリスクが高いことが明らかになりました。この研究は、東京大学大学院公衆衛生学の宮脇敦士氏が中心となって、日本人の中年男性を対象に実施されたもので、詳細は「PLOS ONE」オンライン版2016年4月26日号に掲載されました。

糖尿病のない35~55歳の男性2,469人を5年間追跡し、歯周病の状態と糖尿病の有無について調べたところ、5年間の追跡期間中に対象者のうち133人が新たに2型糖尿病を発症し、動揺歯の存在が2型糖尿病の発症と有意に関連していたことが明らかになりました。歯周病治療が全身性の炎症レベルやインスリン抵抗性、血糖コントロールを改善するとの報告もあり、宮脇氏は歯の動揺を伴う重度の歯周病への対策が2型糖尿病の予防につながるとの見方を示しています。

全身の健康を維持するためにも口腔衛生をしっかり管理することはとても大切です。日々寒くなり、つい甘いものが食べたくなる季節になりますが、食べた後にしっかり歯磨きをしたり、定期的に歯のクリーニングを受けて、口腔管理にも気を配ることを忘れないようにしましょう。

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