催眠にかかったときに脳内で起きること

催眠にかかったときに脳内で起きること

催眠にかかったときに脳内で起きること

2016%e5%b9%b49%e6%9c%88%e5%8f%b7催眠状態になると、本当に脳に変化が起きることが米スタンフォード大学医学部のDavid Spiegel氏らの研究でわかり、研究論文が「Cerebral Cortex」オンライン版に7月28日掲載されました。

 

催眠は西洋における最初の精神療法ですが、その作用はほとんど解明されていません。この試験で、Spiegel氏らは非常に催眠にかかりやすいグループ(36人)、催眠にかかりにくいグループ(20人)の合計57人を対象としました。安静時、記憶の想起時、催眠状態を惹起するためのメッセージへの曝露時に、それぞれMRI検査を実施して血流の変化を検出し、脳活動を測定しました。催眠にかかりやすい被験者では、催眠時に明瞭な脳の変化が認められ、この変化は催眠状態でないときには認められませんでした。また、催眠にかかりにくい被験者の脳でも変化は認められませんでした。Spiegel氏は、「催眠状態のときに脳で起こることを示した研究は今回が初めてです。この知識で、治療に役立つ催眠反応を強化できるかもしれません」と話しています。既に、禁煙治療、痛みやストレスへの対処に催眠が有用であることが判明していると述べています。

また、2014年にはスイスの研究グループが、短時間の催眠暗示で睡眠を改善できる可能性を報告し、「Sleep」2014年6月号に掲載されています。この研究では、18~35歳の健康なスイス人女性70人を対象に、被験者に電極を取り付けて脳派の活動と睡眠パターンを監視しました。照明を消してベッドに横たわった被験者に、深く眠るようにという催眠暗示が録音された録音テープを聞かせたところ、催眠にかかりやすい群では、催眠暗示により睡眠時間が67%増大し、「深い眠り」の時間が約80%増大しました。深い眠りの相でみられる徐波活動に有意な亢進が観察されたことから、催眠術によって深い眠りの量だけでなく、質も向上する可能性が示唆されています。Hutchison氏は、暗示にかかりにくい人であっても、催眠術によるリラクゼーション効果は期待できると指摘しています。

今後、治療やリラクゼーションなど様々な場において、催眠効果の有効な活用が期待されます。

 

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