手洗いは時間をかけて丁寧に

手洗いは時間をかけて丁寧に

手洗いは時間をかけて丁寧に

手洗いの際に使用する洗浄剤も、普通のせっけんのみでなく「抗菌石けん」など様々な種類のものが見られます。しかし、普通の石けんと「抗菌」石けんでは、手の細菌を除去する効果に差がないことが、韓国の新たな研究で明らかにされました。

 

米国食品医薬品局(FDA)によると、抗菌成分として液状石けんにはトリクロサン、固形石けんにはトリクロカルバンが用いられます。抗菌成分のトリクロサンは、細菌を数時間曝露させた場合は普通の石けんよりも強い殺菌作用が認められましたが、実際に手を洗う試験では普通の石けんを超える清浄効果は認められませんでした。韓国、高麗大学校(ソウル)の Min Suk Rhee 氏は、「トリクロサンの殺菌効果は曝露する濃度と時間によって決まる」と説明します。9時間以上継続して曝露した場合、トリクロサンには「有意に」強い抗菌性が認められましたが、10、20、30秒の曝露では、普通石けんを上回る効果はないことがわかりました。抗菌石けんで手を洗う人の多くは、トリクロサン0.3%(法律で認められた最大濃度)未満の石けんを用い、30秒未満しか手を洗わないため、十分な効果が得られません。この知見は「Journal of Antimicrobial Chemotherapy」2015年9月16日号に掲載されました。米ニューヨーク大学ランゴン医療センター准教授のLeonardo Trasande氏は、「今回の結果は、普通の石けんでも十分であることを明確に裏付けるものだ」と述べています。

また、一方で、手の除菌剤を使用する人も増えています。これらの手の除菌剤については、米国食品医薬品局(FDA)が安全性の確認を要求していますが、特に懸念されるのは、妊婦や小児に対する長期的影響であると指摘しています。最近の研究で製品の消費者で尿中の殺菌成分の濃度が想定よりも高いことが判明し、これらの除菌剤は洗い流さないことから、吸収率に関する疑問が浮上したと述べています。米国疾病管理予防センター(CDC)は、水と石けんでの手洗いも感染症の発症・拡大を予防する最善の方法の1つだとしており、手洗いができない状況では、アルコールを60%以上含有する除菌剤を使用することを勧めています。「今の消費者は、感染症リスクの比較的低い状況でも頻繁に除菌剤を使用している」とFDA医薬品評価センター(CDER)のJanet Woodcock氏は指摘しています。

米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のRobert Glatter氏は、「手洗いで最も重要なことは、時間をかけてごしごし洗うという機械的な動作であり、特に細菌や汚れがたまりやすい指の間や爪の中に注意することが大切である。除菌剤と石けんのどちらを用いる場合でも、20秒以上手をこすり続ける必要がある」と助言している。

様々な手指の洗浄剤がありますが、いずれにしても時間をかけて丁寧に手洗いすることが大切だと言えるでしょう。

 

 

 

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