救急医療の専門家が、熱波のもたらす危険について警告し、気温が上昇した日でも涼しい状態を保つ方法を助言しています。
身体は皮膚を通して、また発汗により熱を逃がして体温を調節していますが、十分に体温を下げることができなくなると、熱中症になることがあります。米ウィンスロップ大学病院(ニューヨーク州ミネオラ)救急医療部のBarry Rosenthal氏は、「高齢者や乳幼児、慢性疾患のある人は特に影響を受けやすいが、若く健康な人であっても、適切な対処をしなければ熱中症で倒れる可能性はある」と述べ、暑い時期のリスクを軽減する方法を説明しています。最良の対策は、エアコンの効いた建物の中にいることです。また、外出の際は、ゆったりとした軽く明るい色の洋服を着て帽子をかぶるか日傘を使い、露出している肌には日焼け止めを使いましょう。脱水しないように水を十分に飲むことも重要です。ただし、カフェイン、アルコール、多量の糖分の含まれる飲料は脱水症や興奮作用をもたらすため避けた方がよいでしょう。
Rosenthal氏は、「めまいや吐き気、頭痛など、熱中症の最初の徴候があれば涼しい場所に移動し、数分間休んでから冷たい飲料をゆっくりと飲む。状態が改善しなければすぐに受診すべき」と話しています。
また、米アラバマ大学バーミンガム校のJanyce Sanford博士は、熱中症は軽症から重症まで幅が広いと述べています。暑さの中で作業をしていると、まず熱けいれんが起き、さらに進行すると熱疲労になり、重い頭痛、吐き気、嘔吐、脱力感などが生じます。最も深刻なものは熱射病で、めまいや意識喪失が起こるほか、筋肉が融解して腎不全を来すと生命に危険が及ぶと指摘しています。熱射病は、特に幼児や高齢者、慢性疾患患者によくみられます。
これから暑さが本格的な季節になりますが、暑い日や湿度が高い日は、無理をせずに生活することが大切です。