アメリカで「2015年版栄養ガイドライン」発表:その②

アメリカで「2015年版栄養ガイドライン」発表:その②

アメリカで「2015年版栄養ガイドライン」発表:その②

2016年3月今年1月初旬に「2015年版アメリカ人のための栄養ガイドライン」が発表された。その柱になっているのが、「健康的な食事パターン」。健康的な食習慣を継続することで、理想体重を保ち、高血圧や心臓疾患などの慢性病が予防できると述べている。同ガイドラインでは、「米国」「地中海」「ベジタリアン」の3種類の理想的な食事パターンのモデルを紹介している。

 

塩分を1日に2300mg以下に抑える 

健康的な食事パターンとは、野菜・果物、穀物、低・無脂肪の乳製品、脂肪の少ない肉、植物由来のオイルをバランスよく理想カロリー内で摂取し、添加糖分と飽和脂肪はいずれも1日の摂取カロリーの10%以下、塩分は1日に2300mg以下に抑えるというものである。そして、それを実行するうえで、2015年版では、(1)食べたもの、飲んだもの全てが食事パターンに含まれる、(2)必要な栄養素は食べ物から摂る、(3)食事パターンの柔軟性、という3原則を説明している。

(1)では、食べたり飲んだりしたものがすべてパズルのように組み合わさり、体に必要な栄養素が取り込まれることを強調しており、健康的な食事パターンとしてしては、新鮮な物でも缶詰でも、ドライでも冷凍でも問題ないとしている。あくまでも個人の健康状態に合った理想的なカロリー内で、塩分などは一定制限内にとどめたバランスのとれた食事を奨励している。(2)では、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの健康に欠かせない栄養素を豊富に含んだ食品の摂取を奨励している。ただし、食事だけで必要な栄養素を補えない場合は、栄養補強食品やサプリメントの利用を勧めている。そして、(3)では、健康的な食事パターンを実行しやすいように柔軟性をもたせ、複数の選択肢を用意している。

「地中海式」や「ベジタリアン」、健康的な食事を取り入れる

選択肢として挙げているのが、「米国」「地中海」「ベジタリアン」の3種類の健康的な食事パターン。いずれも、2015年版のガイドラインに沿った理想的な食事モデルが紹介されている。

「米国スタイル」の健康的な食事パターンはアメリカ人の食習慣に基づいて作成したもので、2010年版ガイドラインに掲載された理想的な食事内容と同じである。また、理想摂取カロリーは、年齢、性別、体格、運動量によって異なるため、2015年版では12段階の摂取カロリー別に食事パターンを用意している。ここでは、以下に標準的な2000カロリーのケースをまとめてみた。いずれも1日の理想摂取量となっている。

フードスタイル 米国スタイル 地中海スタイル ベジタリアンスタイル
野菜 2.5カップ相当 2.5カップ相当 2.5カップ相当
果物 2カップ相当 2.5カップ相当 2カップ相当
穀物 170グラム相当 170グラム相当 184グラム相当
乳製品 3カップ相当 2カップ相当 3カップ相当
タンパク質(肉、魚介類、大豆、木の実など) 155グラム相当 184グラム相当 99グラム相当
オイル 27グラム 27グラム 27グラム

 

上記3種類のパターンを比べるとさほど違いはないものの、「地中海」は「米国」よりも、果物とタンパク質(とくに魚介類)の摂取量が多く、乳製品が少なくなっている。「ベジタリアン」は「米国」に比べ、野菜の詳細ではマメ科植物の摂取量が多く、タンパク質では大豆、木の実や種の摂取、穀物では全穀物の摂取がいずれも多くなっている。このため、「ベジタリアン」は「米国」よりもカルシウムと食物繊維が豊富な一方、ビタミンDが少なくなっている。

2000カロリー以下で健康的に減量

いずれの食事パターンにしても、各食品群から多様な食材を摂ることが基本となる。そして、重要なのがカロリー摂取量である。2015年版では、1000カロリーから3200カロリーまで200カロリーごとに個々のニーズに合わせて12の理想カロリーを設定している。例えば、41歳から45歳の男性で、まったく運動をしなければ2200カロリー、適度な運動量ならば2600カロリー、活発な運動量ならば2800カロリーといった具合だ。 成人の1日の理想的な摂取カロリーは、女性は1600~2400カロリー、男性は2000~3000カロリーである。もし1週間に500グラムほど減量したければ、1日の摂取カロリーを500から750カロリー減らせばよい。女性であれば、およそ1日に1200~1500カロリー、男性は1日に1500~1800カロリーの食事パターンを参考にすれば、健康的に痩せられると考えられる。

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