DSHEAから20年、米国サプリメント業界の現状

DSHEAから20年、米国サプリメント業界の現状

DSHEAから20年、米国サプリメント業界の現状

2015年12月号今年4月、日本で食品の機能性表示制度がスタートした。これは、1994年にアメリカで成立したDSHEA(栄養補助食品健康教育法)を参考にしたものである。サプリメントの機能性表示の施行から20年が経過するアメリカにおける、ラベル表示や副作用の問題など、現状を報告する。

 

成人の8割強がサプリメントの安全性・有効性に信頼寄せる 

現在、アメリカのサプリメント市場は約350億ドルを超えるといわれている。Council for Responsible Nutritionの2015年サプリメント消費者調査報告によると、アメリカの成人の68%がサプリメントを服用し、84%がサプリメントの安全性や質、有効性を信頼している。1994年10月にクリントン大統領の政権下でDSHEA(栄養補助食品健康教育法)が成立し、サプリメントの機能性や効能のラベル表記が認可されると市場は急速に拡大した。

サプリメントの効能表記については、DSHEA以前に流通していた商品は、FDA(食品医薬品局)から事前の承認を得る必要はないが、DSHEA成立以降に発売される新しい成分を含んだ商品は、メーカー側が発売前に成分の安全性を示すデータをFDAに提出し、新成分として登録する必要がある。FDAによると、DSHEA成立当時に市場に流通していたサプリメントは約4,000種類だったが、現在では約5万5,600種類にのぼり、さらに毎年1,000種類ほどの新商品が発売されていると推定されている。しかし、この16年程の間に登録申請された新しい成分は約700件のみで、新商品が市場に出回るペースに比べて登録が少ないことに、FDAでは懸念を示している。

FDA、問題のあるサプリメントを公表 

健康産業界を監視する非営利団体「C-HIT」によると、問題があるとしてFDAのサイトに掲載されているサプリメントは、2008年1月1日以降で615品、今年の上半期ですでに59品に上る。しかし、実際にはこの数をはるかに上回る問題のある商品が流通していると考えられる。先月、New England Journal of Medicine誌に、アメリカにおけるサプリメントの副作用による救急来院の統計報告が掲載された。それによると、若者や中年層がダイエットやエネルギー系のサプリメントを服用して、心臓疾患を発症したものが大きな割合を占めている。

業界から悪徳業者を締め出す規制強化案 

そのような中、業界側からサプリメント発売前の申請の規制強化を望む声が高まっている。悪徳業者を締め出し、消費者の信頼低下を防ぐのが狙いだ。DSHEA施行から20年、非表示の薬物含有や副作用など、サプリメントの問題は絶えないが、現在のところ消費者はサプリメントに高い信頼を寄せている。消費者の信頼に応えるためにも、悪質な商品の一掃と安全で質の高い商品の流通が望まれる。

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