アメリカ人の3分の1が、お金を失うよりも体重が増えるほうがいいと考えている――そんな「食と健康」に関する意識調査が発表された。International Food Information Council Foundationが毎年行っている「Food & Health Survey」は、今年で10年目を迎える。この調査で明らかになったアメリカ人の「食と健康」意識の現状について報告する。
健康より経済が優先
アメリカ人の「食と健康」について、毎年意識調査を行っているInternational Food Information Council Foundation。非営利団体として1985年に設立し、健康や栄養、食品安全に関する科学的根拠に基づいた情報を提供している。調査は、2015年3月にオンライン上で、18歳から80歳までのアメリカ人1007人を対象に行われた。この中で、「1000ドル(約12万円)を失うか体重が20ポンド(約9キロ)増えるかを選ぶとしたら、どちらを選ぶか」という問いに対し、3分の1が、「お金を失うぐらいなら20ポンド太ったほうがいい」と回答した。ただ、女性は男性に比べ「太るのは絶対いや」という人が多く、中でも年齢を重ねた富裕層の女性にその傾向が強かった。
エクササイズ、「実践」したいが時間不足
調査では、回答者の91%が健康な食生活、94%がエクササイズを大切と考えており、ほとんどの回答者が 食べ物と健康を重視していることも分かる。しかし、実際にエクササイズを実践しているのは55%、健康な食生活をしている人はわずか24%。なぜ、これほど「意識」と「実践」との間に大きなギャップがあるのか?
その理由のトップが、意志の不足が37%。次いで時間不足31%、資金不足26%であった。とにかく時間が足りないとぼやくアメリカ人は多い。エクササイズが体に良いのはよく分かってはいるが、体を動かす時間がないという声が大半だ。「もし毎週4時間余分な時間ができたら何に使うか」という問いには、36%がエクササイズ、11%が健康や食生活の管理にあてると回答している。
認知度に欠ける食事の「マイプレート」
アメリカ人の健康な食生活の指針となっているのが、「マイプレート」といわれるもの。米国農務省(USDA)が打ち出した健康的な食生活を促進する米国人向けの食事ガイドラインで、一枚の皿を食品ごとに4色に色分けし、野菜・果物が皿の半分、穀物とタンパク質が残る半分を占め、皿の右上には乳製品が添えられている。ところが、この「マイプレート」を見たことがあると答えたアメリカ人は63%だが、内容を知っている人は42%と半数にも満たなかった。「健康のためにこれを食べなさい」と指示する「マイプレート」は、アメリカ人好みのガイドラインといえるが、それにしてもこのような状況だ。
化学物質含有への不安が高まっている
調査で、84%の回答者が食品の安全を気にしていると回答した。また、アメリカの食品の安全性に対して、消費者の信頼度が低くなっていることも明らかとなった。アメリカで売られている食品は安全と信じている、または非常に高い信頼を寄せていると答えた人は、2015年から2012年にかけて減少している。心配の内容については、「食品に含まれる化学物質」が36%、次いで「バクテリアによる食中毒」が34%。前年の意識調査では、食中毒がトップで34%、化学物質含有が2位で23%だったが、今回は順位が入れ替わり、化学物質含有への不安がこの1年間で13ポイントもアップしていることが分かった。食品に含まれる化学物質に不安を抱いている人のうち、45%が「残留農薬と抗生物質残留の食肉を最も心配」しており、オーガニック食品への関心がより高まっている。