セリアック病増加でグルテンフリー市場が拡大

セリアック病増加でグルテンフリー市場が拡大

セリアック病増加でグルテンフリー市場が拡大

9月アメリカでグルテンフリー食品の売り上げが上昇している。近年、セリアック病の患者が増加しているためだ。セリアック病ではないが、健康食品として食生活に取り入れる消費者も増えている。グルテンフリー食品の最新状況を報告する。

 

アメリカ国民の133人に1人がセリアック病 

アメリカで、近年セリアック病の患者が増えている。セリアック病は、小麦やライ麦、大麦などの穀物に含まれるタンパク質のグルテンによって引き起こされる自己免疫疾患で、患者がグルテンを摂ると小腸の粘膜に炎症が起こり、栄養の吸収が阻害されて腹痛、下痢・便秘、栄養失調など様々な症状が起きる。今のところ薬剤での治療法はなく、グルテンを除去した食事を摂ることしか手立てがない。セリアック病患者の増加に伴い、スーパーマーケットでは年々グルテンフリー商品の売り場を拡大している。今年1月にはグルテンフリーのピザをメニューに加えた大手宅配ピザチェーンも登場した。

グルテンフリー市場、2019年には推定20億ドルに 

アメリカのグルテンフリー食品市場は2019年までの5年間に年平均で34%成長するものと予測され、2014年の市場規模は9億7300万ドルで、2019年は20億ドルを超えるものと見込まれている。市場調査会社Packaged Factsによると、2014年消費者調査では、消費者の約3分の1が商品を選ぶ際にグルテンフリーまたは小麦フリーを重視していると回答している。

このようなグルテンフリー食品の需要に応じて、新商品も次々と市場に投入されている。なかでもシリアル市場は活況で、同時期に発売された新商品のうち43%をグルテンフリーが占めた。また、スナック市場の新商品も42%がグルテンフリーだった。ちなみに、グルテンフリー商品の増産傾向は世界的にみられ、世界で同時期に新発売された食品・飲料の10%、シリアルの21%、スナックの13%をグルテンフリーが占めていた。

グルテン、知名度は高いものの認知度は低い 

このように市場規模の拡大とともに、グルテンの知名度が高まっているが、認知度はあまり高くないようだ。世界的な規格認証機関NSFインターナショナルの最新調査報告によると、アメリカで消費者の90%が「グルテン」という言葉は知っているものの、グルテンが小麦や大麦などの穀物に含まれるタンパク質であることを認識している人は35%と、認知度が低いことが明らかになった。「グルテンフリー食品についてはよく知らないが、健康に良さそう」との理由で好んで食べている人も多い。また、減量目的でのグルテンフリー食品の摂取も、18歳から34歳までの消費者で11%、65歳以上で5%だった。しかし、グルテンフリー食品の健康効果や減量効果を科学的に裏付ける研究はまだ報告されてはいない。

アメリカで増加するセリアック病患者。今のところ、グルテンフリー食品を摂ることでしか対処法がない。今後、健康志向の消費者も取り込み、さらにグルテンフリー食品市場の拡大が見込まれる。

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