米国で野菜・果物の消費量が減少 

米国で野菜・果物の消費量が減少 

米国で野菜・果物の消費量が減少 

2015年6月慢性病を予防して健康を維持するために野菜・果物をたくさん食べよう―アメリカでそういわれるようになって久しい。ところが、現実の食生活では5年前に比べて野菜・果物の消費量が減っていることが、最近発表された調査報告で明らかになった。アメリカ人の野菜・果物の消費傾向と疾患との関係についてまとめた。

ここ5年で野菜・果物の消費量が7%減少

アメリカでも健康志向の高いカリフォルニア州。ここでは、「体を動かし、タバコを吸わず、野菜・果物をたくさん食べて健康になろう」と、州政府スポンサーのTVコマーシャルが頻繁に流れている。連邦政府も健康的な食生活を推進する栄養ガイドラインで野菜・果物の大切さを強調、「マイ・プレート」という例えで、1枚の皿を栄養素ごとに4つに色分けし、たんぱく質と穀物が半分、残る半分は野菜・果物を摂ることを推奨している。国や州をあげてのキャンペーンで野菜・果物の消費量が増えているだろうと思われるが、実際には減少しているという報告が発表された。

健康のために野菜・果物の摂取を推奨する非営利団体Produce for Better Health Foundation(PBH)の報告書「アメリカにおける果物および野菜の消費についての調査2015年版」では、アメリカ人の野菜・果物の消費量が5年前に比べて約7%減っていると指摘されている。同報告書によると、野菜・果物の消費量は2004年から2009年にかけて増加したものの、2009年からは減少傾向が続いており、野菜は7%、果物は6%減少している。果物の消費が減った理由として、フルーツジュースの消費の減少が指摘されている。フルーツジュースの消費量はこの5年間で14%減少、生鮮、缶詰、および冷凍の果物の消費量はこの5年間で2%減少している。

子どもたちの間では野菜・果物の消費量は増えている

米国においては頻繁に野菜・果物の摂食の大切さが強調されているのに、なぜ消費量が減っているのか?PBHの調査報告では夕食の付合せが減っていることを理由として挙げている。利便性が優先され、手間や時間がかからないように使う素材が減り、野菜の付合せが省かれる傾向にある。さらに、朝食にフルーツジュースを飲む習慣が減少していることも挙げられる。前出の「マイ・プレート」で砂糖入りの飲料を控えるように指摘されていることから、果糖を含む100%フルーツジュースも控え目にする人々が増えている。また、フレーバー付きの飲料水をはじめヘルシーな飲み物の選択肢が広がっていることも理由として挙げられる。

特に45歳以上では野菜・果物の消費が減少しており、なかでも65歳上で激減している。朝食における野菜の消費はわずかに増加傾向にあるが、夕食が肉料理に野菜の付合せという従来の食事から、料理に手間のかからないピザやサンドイッチといった一品の食事にシフトしているからだ。また、デザートに果物を食べる回数も大幅に減っていると指摘されている。しかし一方で、調査報告では明るい兆しもみえている。18歳未満の子どもたちの間では、全ての年齢層において野菜・果物の消費量が増えている。

CDC、野菜・果物の摂取不足は疾患リスクを高める

ところで、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)によると、心臓病や脳卒中、がん、糖尿病、肥満、関節炎といった慢性疾患は、アメリカ人の死亡・身体障害の主要因で罹患率が最も高く、医療費も最大であるが、最も予防できる可能性が高い疾患としている。

2012年現在で、大人の4人に1人が2つ以上の慢性疾患を患っており、さらに患者数は増加している。CDCの2011年調査によると、1日に1回未満しか果物を食べていない、1日に1回未満しか野菜を食べていないという傾向も見られる。
運動不足、不健康な食生活、喫煙、過剰の飲酒の4点が、慢性病の発症リスクを高めるといわれているが、CDCの調査でも野菜・果物の摂取不足と慢性病の発症との関連が明らかになっている。

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