米国における代替療法利用の現状

米国における代替療法利用の現状

米国における代替療法利用の現状

2015年5月米国における代替療法の最新の利用状況が、2月に発表された。2012年版National Health Interview Surveyを基にした調査報告で、マインド&ボディー療法、そしてナチュラルプロダクツの利用状況が、大人と子供とに分けてまとめられている。米国における代替療法のトレンドを報告する。

 

全米の約4万世帯を対象に調査 

代替療法利用に関する最新報告書によると、18歳以上の大人で33.2%、4歳から17歳までの子供で11.6%が何らかの代替療法を利用している。このうち最も利用者が多いのが、大人も子供もナチュラルプロダクツ(ビタミンとミネラルを除くサプリメント)で、大人の利用者は17.7%、子供では4.9%だった。

今回発表された代替療法利用に関する最新報告書は、2012年版National Health Interview Survey(NHIS)が基になっている。NHISは、米国疾病管理予防センター(CDC)の一部であるNational Center for Health Statistics (NCHS) が毎年全米の約4万世帯を対象に実施している健康に関するインタビュー調査で、アメリカ人の総体的な健康を知るうえで重要な情報源となっている。National Center for Complementary and Integrative Health (NCCIH)のディレクター、ジョセフィーン・P・ブリッグス医学士は最新報告について次のように語る。「調査報告から分かったことで特に興味深いのは、ナチュラルプロダクツの利用状況がシフトしていること。大人ではフィッシュオイル、プロバイオティクスとプレバイオティス、メラトニンの利用が急増している一方で、グルコサミンとコンドロイチン、エキナセア、ガーリックの利用が激減している。こうしたトレンドは、科学的エビデンスに裏付けられた効果が発表されることに大きく関わっている。マインド&ボディー療法も、痛みやストレスの緩和といった効果が科学的に立証されはじめたことが、利用者の増加につながっている」

カイロプラクティスや整骨療法、2000万人近くが利用

数ある代替療法の中でも手軽にできる栄養療法が特に人気があるが、ナチュラルプロダクツの中で最も利用が多いのがフィッシュオイル、2位はグルコサミンとコンドロイチン、3位はプロバイオティクス・プレバイオティクスである。マインド&ボディー療法では、カイロプラクティスや整骨療法、メディテーション、マッサージ療法がよく利用されている。

ヨガ利用者が急増、米国の成人ヨガ人口2100万人に

ヨガの利用者がこの数年間で急増している。ヨガ人口の増加に拍車をかけているのが、ヨガの効果を裏付ける科学的根拠だが、つい先日もヨガが妊娠によるうつ症状の緩和に効果があるという研究報告が発表されて話題を呼んだ。Women’s Health Issues誌2015年3・4月号に掲載された研究報告によると、うつ症状の妊婦34人に10週間にわたりヨガのクラスに参加してもらい、自宅でもできるだけヨガをやるよう勧めたところ、期間中に妊婦のうつ症状がいずれも緩和、ヨガを実践するほどうつ症状が改善していった。

子供たちの間でもヨガや代替療法がブーム 

子供たちの代替療法利用については、ナチュラルプロダクツで最も人気があるのは、大人と同じくフィッシュオイル、次がメラトニン、プロバイオティクス・プレバイオティクスである。また、マインド&ボディ療法では、カイロプラクティス・整骨療法、メディテーションの利用者が多く、増加傾向にある。大人の影響もあってか、子供たちの間でもヨガが大ブームになっている。子供が代替療法を利用している理由は、腰と首の痛みがトップで、次いで筋骨格系疾患、カゼ、不安・ストレス、ADHD(注意欠陥多動性障害)、不眠となっている。

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